▲自治会メンバーから説明を受けながら、各ステーションで違反ごみの状況を確認。1年間の活動で、改善が見られるように(CANPUS代表・小島秀樹さん提供) |
毎年11月初旬に熊本大学黒髪キャンパスで行われる「紫熊祭」。サークル発表や学生たちによる数多くの出店に、学生だけでなく近隣住民など多くの人でにぎわいます。
一方で、期間中はライブの騒音や交通渋滞などで、周辺地域に迷惑を掛けているのも事実。そこで同祭実行委員会では、環境部を中心に、毎月第2土曜と第4日曜に、大学や熊本市役所周辺の清掃活動を行っています。 |
▲環境部の呼び掛けで月2回行っている大学や熊本市役所周辺の清掃
(同委員会環境部提供)
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大学周辺のごみ問題に取り組む活動にも参加
こうした大学祭以外での活動で地域貢献を行ってきた実行委員会の学生たち。2015年からは新たに「ZERO PROJECT(ゼロ・プロジェクト)」を立ち上げ、大学周辺のごみステーションの利用改善にも取り組んでいます。
大学周辺には学生たちが暮らすアパートや下宿が多く、彼らのごみ出しマナーを巡って近隣住民との間でトラブルが起こったり、住民から大学側に改善を求める苦情が寄せられたりしていました。
そうした状況を受け、環境部と熊本市、大学に隣接する黒髪校区の3つの町内自治会、ごみ分別等の啓発事業を手掛けるNPO法人CANPUS(キャンパス)が連携し、地域の環境問題を考ようと始まったのがゼロ・プロジェクトです。
昨年の環境部長で現在、実行委員会副委員長を務める越替(こしがえ)彩花さん(理学部2年)は、「これまで見過ごしていましたが、実際に大学周辺を歩いてみて、『こんなにひどいの』と驚きました。自分が出したごみでなくても、同じ学生として何かしなければと思いました」。
同プロジェクトは、月1回程度、実際に近隣のごみステーションを見て回り、利用状況をチェックします。もし違反ごみがあった場合には違反している内容を書き込んだシールをごみに貼り、改善を促します。また、ペットボトルのラベルやフタなどが分別されないまま入っている場合は、ごみ袋を開けてラベルをはがしたり、フタを外したりして分別し直します。見回りの後には、校区の公民館に場所を移し、違反ごみをなくすための解決策を話し合うワークショップを行います。 |
▲話し合いでは、学生、自治会それぞれから熱い意見が出される
(小島秀樹さん提供) |
プロジェクトの成果上々 活動にも広がりが
2年目を迎えた同プロジェクト。活動の成果は徐々に上がっているようです。越替さんの後を受け、今年、環境部長に就任した阿南陸さん(工学部1年)は、「プロジェクトに参加している近隣町内の自治会長さんたちから『見違えるようにきれいになったよ』と言っていただけて、本当にやって良かったと思います。ごみステーションなどをきれいにすることは、地域の環境美化だけでなく、防犯にもつながると聞いたので、より一層活動にも力が入ります」。
これまでプロジェクトには、環境部のメンバーのみ参加していましたが、「多くの学生に現状を知ってもらい、活動を広げたい」(越替さん)と、体育会や大学生協組織部など、他の学生団体にも呼び掛けを行っています。
また、日本語で書かれたごみ出しカレンダーやごみステーションの利用マナーが理解できない留学生のために、留学生歓迎会などの場を利用したオリエンテーションも実施。さらに、大学生協に協力を仰ぎ、プロジェクトの活動に参加するごとにスタンプを押し、そのスタンプの数によって生協での買い物が割引になる「ZEROカード」を導入するなど、活動の幅を広げています。 |