くまにちコム



  2015年2月25日掲載






 月1回の紙面を通じて、エコや環境に取り組む個人や団体、エコにまつわるトピックスなどを紹介してきた「月刊エコ通」。また、関連企画として河川の清掃活動や「エコ図書」の寄贈にも取り組みました。約7カ月にわたった2014年度の「くまもとエコモーションキャンペーン」について、担当者4人が座談会形式で総括します。


Vol.1 街をきれいにする“ご当地アイドル”に密着! 熊本市の「夏季の節水重点月間」に合わせて節水グッズも紹介。
Vol.2 食品ロスを減らすポイントは“もったいない精神”。余りそうな食材ですぐに実践できるエコレシピも収録。
Vol.3 自動車でもバイクでも進む“電動化”と、高まる普及への期待。エネルギー消費削減には自分の“燃費”を上げること!?
Vol.4 熊本の水の恵みに感謝しながら、城下町をのんびりランニング。ズボラ主婦のエコ掃除術のキーワードは“ながら”。
Vol.5 大学生が構内の使用電力が分かるスマホアプリを開発! 地元企業も負けじとワンタッチで開閉するごみステーションを制作。
Vol.6 あなたは大丈夫? 大掃除シーズンにありがちな、ごみ捨てルールの○or×を解説。「特定品目」の分別回収にも注目!
Vol.7 地球温暖化で未来の熊本の気候はどうなる!? 過去・現在との比較で、気象予報士・北島茂さんが約30年後を予想。



家庭でのごみ分別はもちろん、職場でもコピー紙の裏紙利用、両面コピーするなどマメな“エコ男子”
食品トレーは分別時に水洗いだけでなく洗剤で洗って捨てるなど、徹底した“分別マニア”
家庭のごみ捨て担当として、スマホの「収集日お知らせアプリ」を活用! 牛乳パックはスーパーの回収ボックスに持参
鍋やフライパンの油汚れは、古布で拭き取ってから洗うほか、冬は代謝を上げて“自家発熱”し、極力暖房を使わない
  座談会では参加者全員が
  “マイボトル”を持参


「意外なエコ」を紹介する
実験的な紙面づくりを展開

 「くまもとエコモーションキャンペーン」(以下エコモーション)は、前身の「グリーンクリーンキャンペーン」を受けて20 04年にスタートしました。今回は、これまでの「身近にできるエコ」の紹介から一歩進んで、暮らしや趣味、カルチャーといった 中にある「意外なエコ」にスポットを当ててみました。また関連企画として、緑川・白川の流域清掃や県内全高校へのエコ図書の寄贈も行いました。
 「エコ」という言葉や、それに取り組もうとする動きが一般的になって、方法論も出尽くした感があります。そんな中で、今回 はライターとも相談しながら新聞紙面内に「月刊エコ通」と題した雑誌的な内容を盛り込む実験的な紙面づくりを試みました。その中で感じたのは、幼いころから環境教育を受けている今の子どもや若者ほど、エコ意識が浸透していて、日常生活の中で自然と実践
していること。私も含め、中高年はどうしてもエコというと構えてしまうんですよね(笑)。 
 それは私も感じました。Vol・1で紹介した街を掃除するアイドルグループ「熊本クリアーズ」やVol・5のアプリ開発に携わった大学生など、いずれも「これをしなきゃ」という気負いがなく、ごく普通に取り組んでいるのが印象的でしたね。

清掃参加者の意識向上に期待
協賛社の顔ぶれも多彩に

 エコモーションの流域清掃の参加者などは、昔に比べ積極的にごみ拾いに取り組む人が多くなったと感じますね。加えて、捨てる人も減っているのか、1回の清掃で集まるごみの量が以前ほどではなくなっています。それでもこうした活動を続けるのは、「参加した人はごみを捨てなくなるから」というのも理由の一つです。
 営業面でいえば、自社で積極的にエコや環境貢献活動に取り組んでいる従来の企業に加えて、ビジネスとしてエコにつながる商品を作っている企業も増え、以前よりも協賛社の間口が広がっているのを感じます。それに伴って、(協賛社からの)紙面を通じた情報発信も、内容に幅が出てきましたね。近年は行政でも環境を意識した施策が増えているので、それに関連した行政や協議会の協賛もあります。
時にはユーモアも交肩肘張らずにできるエコを
 今年度は、従来とは違った紙面づくりを試みたこともあり、取材先もこれまでにないところが多く、「人・物・事象」とも新たな出会いや発見がありました。Vol・7で紹介した「どうなるの!? 未来の熊本の気候」は、授業で教材として使ってくれた小学校もあり、今後もエコモーションなりの提案ができればと思います。
 紙面で紹介した方々や清掃活動の参加者を見ていると、皆さんのエコ意識が想像以上に高くなっていると感じました。今後も、そうした「やる気」を後押しできるような紙面にしていきたい。また、読者がエコや環境のことで疑問に思っていることに答えるコーナーなども作りたいですね。
 義務感でエコに取り組むと、苦痛になったり長続きしないので、意識せずに「何気なくやっていたことがエコだった」というのが理想。エコモーションの紙面も、肩肘張らずに、時にはユーモアも交えて展開していければと思います。
 「意識せずに」というのは、一つのキーワードだと思いますね。「エコ通」の本や映画の紹介のように、間接的な形でエコにつながるものもあるので、そういう部分をもっと広げていくといいかもしれません。
 第三者的な目線だけでなく、取材者が実際に体験してみるような企画もあると面白いかも。
 「エコ通」というスタイルは来年度も継続したいですね。新聞の枠にとらわれず、生活者の視点でエコや環境を考え、それが皆さんの具体的な行動につながるような紙面になればと思います。


座談会の会場となった会議室の暖房も、
しっかり設定温度以下に!



エコモーションの関連企画
参加者2万人を超える川の一斉清掃
 昨年4月29日に緑川、8月3日に白川流域(いずれも一部の会場では別日あり)で開かれた「緑川の日」「しらかわの日」。延べ約2万人が河川敷の清掃活動などに汗を流しました。県内河川保全や地域づくりなどに取り組む「緑川の日実行委員会」「白川流
域リバーネットワーク」が毎年開催し、エコモーションキャンペーンの一環として熊日もお手伝い。
 「緑川の日」では、嘉島町犬渕の河川敷から約1㎞にわたりごみを拾い集めました。川岸漂着ごみ回収には水上バイクも登場! 
「しらかわの日」では泰平橋近くを中心に多くの人が清掃に取り組みました。小学生向けのEボート体験乗船などのイベントも。いずれの会場も過去の水害に関するパネル展示や利き水大会もあり盛況でした。
環境意識を高めてもらうべく県内全高校に
 くまもとエコモーションキャンペーン事務局は、今年度も県内全78高校(公・私立・分校含む)に環境関連図書を寄贈しました。2月16日、代表して目録を受け取った県公立高等学校校長会の宮﨑昭次会長(第二高校長)は、「最近は各校とも環境活動に積極的。生徒たちにこれらの本を勧めて、さらに意識を高めていきたい」と謝辞を述べました。
 「エコ図書」寄贈は、2004年度から毎年実施。今回は「資源がわかればエネルギー問題が見える」(PHP研究所)、「ジパングの海」(講談社)、「図説【資源大国】東南アジア」(洋泉社)、「エコ論争の真贋」(新潮社)、「ミツバチ大量死は警告する」(集英社)の5冊。

目録を受け取る第二高の宮﨑昭次校長(左)

龍田小6年 理科の授業
 熊本市北区の龍田小では6年生の理科の教材として、「月刊エコ通」Vol.7「どうなるの!? 未来の熊本の気候」を取り入れました。2月20日の6年3組の授業では担任の松田道輝教諭が、記事で紹介した過去・現在・未来の熱帯夜や猛暑日などのデータ(未来は予想)をグラフ化して児童に示し、気付いた点などを発表させました。今後は「(熊本の)気温上昇を防ぐためにできることは?」という課題に取り組むとのことです。


2月20日の授業の様子







 
 
 日本に居ては分からない各国のエコ事情を、海外在住経験者や在住中の人の“生の声”でお伝えします。
筆者/持木美恵
2009年から約2年半イタリア・ミラノで生活。現在は熊本市在住で、TVディレクター&ライターとして活動中。
想像してみてください。週末の熊本市中心街に、車で行けないとしたら…。皆さんがお住まいの場所や(街までの)距離にもよりますが、“車社会”の熊本ではちょっと不便かもしれませんね。
 街を走る車の多くがディーゼル車で、「空港に着いたら空気が違う」と言われるほど大気汚染が深刻なミラノでは、しばしばナンバーの末尾が偶数か奇数かを指定した中心エリアへの入車規制が行われます。確かに一定の効果はありますが、規制によって外出気分が萎えるため、クリスマス前に規制が行われると、エリア内の商店主が「このかきいれどきに!」と怒ったりもします。
 しかもこの規制は、汚染の原因となる微粒子を測定し基準値を超えた時に実施されるので、周知する時間が不十分な場合が多く、車の利用者が規制を全く知らないことも…。そのため、常に規制の有無をチェックしておかないと、知らずにエリアに入った瞬間を監視カメラにパチリとやられ、忘れたころに罰金の通知がやって来ます…。
 熊本の大気は、まだミラノほど問題になっていませんが、近年は黄砂や微小粒子状物質・PM2.5、最近では阿蘇山の噴火の降灰に悩まされる日も少なくありません。自分たちの力ではどうしようもないこともありますが、澄んだ空気を守り快適な暮らしを続けるためにも、燃やすゴミの正しい分別や公共交通機関の積極的な利用など、私たちにできることはまだまだありそうです。






 住職であり庭園デザイナーでもある著者が勧める、禅に基づくシンプルな生活。「環境問題を考える」といった、いわゆる“エコ本”ではありませんが、「靴をそろえる」や「夕焼けを見る」など簡単なことを当たり前に実践することで気づく、「すぐ目の前の幸せ」や「ムダのない美しい生き方」こそ、身近なエコにつながると実感できます。



 フランスでオーガニック・ブームを巻き起こした映画『未来の食卓』の、ジャン=ポール・ジョー監督による続編。1992年の環境サミットで伝説のスピーチを行った当時12歳の少女、セヴァン・スズキの現在の活動と、日本とフランスで子どもたちの未来を救うために「食」を守り続ける人々を追ったドキュメンタリー。



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