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  2015年1月28日掲載






 地球規模で進む温暖化や、それに伴う気候変動。毎日の変化はほんのわずかでも、50年・100年という単位でみると大きな変化が…。私たちの住む熊本も例外ではありません。約30年前と現在の気温の変化を比較するとともに、このまま温暖化が進んだ場合に予想される 「未来の熊本の気候」を、気象予報士・北島茂さんに解説してもらいました。

 温暖化は、平均気温の上昇だけでなく、さまざまな気候変動や気象災害を引き起こします。例えば、気温が上がると空気中に含まれる水蒸気の量が増えて降水量も増加するため、1時間に80㎜以上の猛烈な雨が降る日数は増える傾向にあります。皆さんも身近な気候の変化に目を向けてみましょう。 
 
話を聞いた人
気象予報士 北島 茂さん
TV情報番組の天気コーナーを担当。自身の予報のモットーは「より迅速に、より分かりやすく」。


上昇続く熊本の平均気温
できることからエコを!


 昨年10月に福岡管区気象台が発表した「九州・山口県の地球温暖化予測情報」によれば、21世紀末の熊本は、年平均気温が約2・8℃上昇し、特に冬場は3℃近くも上がると予測されています。
 ここ10年間(2005~14年)と約30年前(1975~84年)の「冬日(一日の最低気温が0℃未満)」「熱帯夜(夕方から翌朝までの最低気温が25℃以上)」「真夏日(一日の最高気温が30℃以上)」「猛暑日(一日の最高気温が35℃以上)」の日数を比べても、平均気温が上昇していることが分かります。 
 このまま温暖化が進むと、今から約30年後に熊本の気候はどうなっているのか? 予想を読んで、「自分にできること」を考えてみませんか。




熱帯夜や猛暑日は現在の半分以下
 1970~80年代半ばの熊本県の熱帯夜の平均日数は現在の約40%、猛暑日は25%ほどしかありませんでした。さらに30年ほどさかのぼった40~50年代半ばと比べても、熱帯夜は年平均+7.8日、猛暑日は同+0.5日と、温暖化は緩やかだったようです。確かにこの時代はエアコンも珍しく、窓を開け放っていれば寝られましたからね。

この時代の世相や気象
日本初の気象衛星「ひまわり1号」打ち上げ(77年7月)
福岡で大渇水。給水制限は約10カ月に及ぶ(78年5月)
台風20号で西日本を中心に甚大な被害(79年10月)
任天堂が「ゲーム&ウォッチ」を発売(80年4月)
500円硬貨発行(81年4月)
東京ディズニーランド開園(83年4月)
熊本市の市外局番が「0963」から「096」に(84年2月)




熱帯夜・猛暑日の増加に加え冬日も減少
 温暖化だけでなく、熊本市など都市部では緑や水辺の減少、コンクリートの建物やアスファルト舗装の増加が原因の「ヒートアイランド現象」なども加わり、猛暑日や熱帯夜が急激に増えています。さらに、冬日が40%以上減少するなど、年間を通して気温の上昇が見られます。そういえば、11月でもTシャツ1枚で過ごせる日があったりしました…。

この時代の世相や気象
京都議定書発効(05年2月)
47都道府県すべてで地上デジタル放送開始(06年12月)
熊本城築城400年祭開幕(07年1月)
映画「おくりびと」が第81回アカデミー
  外国語映画賞受賞(09年2月)
小惑星探査機「はやぶさ」が地球に帰還(10年6月)
東日本大震災発生(11年3月)
高知県の江川崎で観測史上最高の
41℃を記録(13年8月)
※「過去」「現在」の冬日や熱帯夜などの日数は10年間の平均日数です





 現在のまま温暖化が進むと、猛暑日が丸1カ月続くなんてことに!? さらに真夏日や熱帯夜も増え、気候が現在の四季から夏と冬(それぞれの間に梅雨や台風などの秋雨前線)の「二季」に変わる可能性も…。




  真夏日や猛暑日の増加に伴う、夏のクールビズがますます進み…、ついにランニングと短パンだけに! しかし、そこはビジネスマン。ネクタイと革靴だけは絶対に外せません。
 
 
 代表的な桜のソメイヨシノは、冬の寒さを経験しないと咲かない習性があるので、温暖化が進み冬の気温が上昇すると花が咲かなくなる可能性もあります。「今年は数年ぶりに熊本城の桜が開花しました!」なんてニュースが話題になるかも…。 

 現在、最高気温35℃以上を猛暑日、夜が25℃以上を熱帯夜と呼びますが、気温の上昇とともに、それを超える日も増え新たな呼び名が登場するかも…。ちなみに、北島さんが予想する熱帯夜を超える日(夜が30℃以上)は、「寝(ね)れない夜(や)」だとか…。

※未来の数字はあくまで予想で、正確な
 データに基づいたものではありません。

■参考資料
「九州・山口県の気候変動監視レポート2013」
      「九州・山口県の地球温暖化予測情報」(いずれも福岡管区気象台)







 
 
 日本に居ては分からない各国のエコ事情を、海外在住経験者や在住中の人の“生の声”でお伝えします。
筆者/持木美恵
2009年から約2年半イタリア・ミラノで生活。現在は熊本市在住で、TVディレクター&ライターとして活動中。
買い物時のマイバッグがすっかり定着した日本同様、イタリアでも普段のちょっとした買い物にはマイバッグを持参します。もちろんエコ意識もありますが、正直なところレジ袋の質が日本のものより劣るのか、重いものを入れるとビヨ~ンと伸びて薄くなり、すぐに穴が開いてしまうのです…。私も、日本から持参した“3年もの”のマイバッグを愛用していました。
 商品の包装もいたって簡易的です。日本で洋服を買うと、白い紙に包んでから紙袋に入れてくれますが、イタリアではたいていがレジ袋か紙袋のみ。プレゼント用の包装を頼んでも、「時間がないから後は自分でやってね!」とウインクとともに包装紙を渡されたことも…。仮にやってくれたとしても、ミリ単位で折り目を合わせる日本より、かなり大ざっぱです。それでも笑って許せてしまうのが、イタリア人のチャーミングなところ。丁寧な半面、過剰気味とも思える日本式の包装と比べれば、ある意味でイタリアらしい「簡易・簡便」なエコ包装ともいえます。
 ただし、誕生日やクリスマスなど、本当に必要なときには自分たちで派手にラッピングをすることもあり、それには男性陣も加わります。文具店で包装紙やリボンを買ってきて、大切な人の笑顔を想像しながらせっせと愛を込めて包んでくれたプレゼントは、やはり心に響くもの。そんな気持ちが伝わる包装には、地球への“愛=アモーレ”も込もっているかもしれません!?




 節約といえば「我慢する」というイメージを抱きがちですが、本書ではお金をかけなくてもぜいたくな生活が可能な方法として、フランス人の日常を例に紹介しています。さまざまな節約術の紹介よりも「どういう意識で暮らすか」を説く内容。エコや節約を「ライフスタイル」の視点から考えるヒントが見つかるかもしれません。



 地球温暖化の果てをシミュレーションしたスペクタクル映画。竜巻や洪水、大津波などの異常気象で都市は壊滅に追い込まれ、やがて氷河期が到来します。そんな極限状況下で、愛する者のために命を賭ける人々の奮闘がドラマチックに描かれています。フィクションとはいえ、環境問題について考えさせられる作品です。
次回は来年2月25日に掲載予定です。


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