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  2014年8月27日掲載

 平成25年度の日本の食料自給率は39%(カロリーベース)。つまり、食料の約6割を海外からの輸入に頼っているのです。一方で、売れ残りや食べ残しなど、本来食べられたはずなのに捨てられている「食品ロス」の量は、年間500万〜800万トンに上ります。食品ロスを少しでも減らそうと取り組んでいる県内の百貨店や青果店を紹介します。

   
短期間で使い切る食品は、賞味期限が近づいている“手前”から順番に取るようにしましょう !

 日本の食品ロスのうち、家庭から出るものは200万〜400万dを占めます。内訳は、食べられるのに調理時に捨てた部分(野菜の皮や葉の部分など)、食べ残し、買ったのを忘れて期限切れになった食品など。これらを減らすことができれば、廃棄量の大幅削減も可能になります。
 熊本市中央区の県民百貨店では8月29日(金)〜31日(日)>の3日間、「理由(ワケ)あり商品大バーゲン」を開催。その中で、賞味期限が近づいているものや廃盤品、在庫過剰品などの加工食品を通常価格の3〜5割引きで販売する「もったいないセール」を行います。
 同百貨店食品売り場・チームマネージャーの島村直樹さんは、「お得な商品を購入する際に、少しでも食品ロスについて考えていただければ」と話します。食品ロスを防ぐために消費者にできる行動として、「陳列棚には手前から順に賞味期限の近い(早い)ものが並んでいます。奥にある期限の遠い(遅い)ものから取ると、手前に残ったものが廃棄処分になります。順番に取っていただくだけでも、食品ロスは減ります」とアドバイスします。






 熊本市北区で県産有機野菜を販売する「地産倶楽部」の角田真智子さんは、生産者への思いから取り扱う商品のロス削減に取り組んでいます。
 「当初は売れ残った野菜は廃棄処分にしていましたが、作り手の顔が見える野菜を『売れないから』と捨てることはできませんでした…」。そこで、2003年ごろからそうした野菜や規格外の野菜を使ったカレーピューレ(ルウ)作りに取り組み、「たりとっとカレー」として販売を開始。
 カレー作りには、季節により種類は異なるものの、常時15〜20種類の野菜を使用。結果、以前に比べて廃棄品が減っただけでなく、廃棄を依頼する業者への料金も「半額程度になった」と角田さん。「『一物全体』で、素材を丸ごと使い切れば、家庭でのロス削減にもつながるのでは」と、消費者の取り組みを呼び掛けます。
 読者の皆さんも、自分にできる“捨てない工夫”を考えてみませんか。

 
▲「一生懸命作っている生産者の姿を見ると、簡単には廃棄できません」と角田さん

  
▲季節の野菜約20種類を丸ごと使って作られるカレー。同店店頭や通販で購入可能
 
<地産倶楽部>北区植木町岩野795‐1
TEL 096(273)0394 http://www.chisanclub.com/

■参考資料/平成25年度食料自給率について(農林水産省)、日本の食品ロスの状況(消費者庁)、政府広報オンライン




 

教えてくださった人
食育料理研究家 
渡邉 まみさん1969年、大分県生まれ、熊本市在住。テレビ番組への出演をはじめ、各種料理教室を開催。体にいい素材を使った簡単料理&おやつが好評。

 「ついうっかり賞味期限・消費期限を過ぎてしまって…」という食品ロスに加え、気温や湿度の高い夏場は、野菜などの生鮮食品の傷みも気になりますよね。そんな夏の食品ロスを防ぐのに役立つ料理が「ラタトゥイユ」です。

材料(4〜5人分)
カボチャ・・・・4個
ナス・・・・2本
ピーマン・・・・2個
赤パプリカ・・・・1個
黄パプリカ・・・・1個
トマト・・・・大3個
タマネギ・・・・2個
ズッキーニ・・・・1本
トウモロコシ・・・・1本
ローリエ・・・・2枚
オリーブオイル・・・・適量
塩麹(こうじ)・・・・大さじ2〜3

●ポイント
塩麹を入れると、野菜本来のうま味が引き出されて、よりおいしくなります。材料の野菜は、レシピにある以外に“そのときにあるもの”(夏場なら傷みやすい葉物やオクラなど)を入れてもOKです。
●ポイント
すべての材料を食べやすい大きさに切り、鍋に重ねるように入れる。一番上に塩麹を入れて火にかける。
沸騰したら、弱火で30分ほど煮て出来上がり !



 ラタトゥイユは、一度にたくさんの野菜を消費できて食品ロス防止に役立つだけでなく、さまざまな料理にアレンジできるのもうれしいポイント ! パスタソースに使ったり、冷やしてサラダ風にしたり、カレー粉を加えてスパイシーに仕上げるのも夏らしくてGOOD。ぜひ自分なりのバリエーションを広げてみてください。


ラタトゥイユと同量の水で延ばして、塩・こしょうで味付けするだけ。レタスやホウレンソウなど、傷みやすい葉物を加えるとさらにロスが防げます。

こしょう、塩麹でグリルしたチキンにラタトィユをかけるだけ。鶏肉の代わりに白身魚のムニエルなどにかけても美味 !

 
 「エコや環境が大事なのは分かるけど、わが家のことで精一杯」。そんな“平均的なママ”のちょっぴり脱力系コラムです。
筆者/よんぼ
熊本市在住。結婚6年目で4歳の長女、3歳の長男の2児を育てながら仕事も頑張るアラフォー・ママ。
 唐突ですが、わが家は家族そろって「乗り鉄(実際に乗るのが好きな鉄道マニア)」です。毎年、いろいろな列車に乗るのを目的とした家族旅行に出掛けるほど。
 そんな鉄っちゃんファミリーの私たちは、普段から公共交通機関を利用した“プチ旅行ごっこ”を楽しんでいます。といっても、「ちょっと街まで」とか、「少し離れた公園まで」程度なんですけどね(笑)。
 私が住む地域には路線バスやJR、市電、熊本電鉄など、交通機関が充実しています。そこで週末ともなれば、「電車でお出掛けしようか?」と子どもたちを誘って外出。少しばかり遠回りになったり時間がかかったりしても、電車に乗ることが楽しいので、子どもたちも大喜びです。
 ちなみに、わが家は車を2台所有していますが、私用の軽自動車の走行距離は月間200キロ程度…。子ども2人が未就学児なので、3人でも運賃は私一人分や私と子ども一人分で済む場合がほとんど。だから、車を使うことによる排気ガスも出さずに済み、ガソリン代も節約できるわけです。
 それに、「騒がない」「順番に並ぶ」などの社会のルールを教えたり、体力づくりを兼ねて駅まで歩かせたりと、エコや節約以外にもいいこといっぱい。何よりうれしいのは、運転する必要がなく、ランチなどでちょっぴりお酒を飲めること。地球にも私にも優しい公共交通機関よありがとう、乾杯!






 料理家・辰巳芳子のドキュメンタリー。大量消費型の文明から脱却し、「この国が持つモノ」で分をわきまえた生活を、と説く辰巳さん。その思想は、食だけでなく人のあり方にまで迫ります。エコについて考えるのは、社会や世界を考えることにもつながり、とても健全に未来を指向することだと感じさせてくれる作品です。



 エコには、自分自身の生活に具体的な行動で反映させる方法と、俯瞰(ふかん)してみる見方があります。この本はアマゾンを10年かけて撮影した写真集で、エコに対する具体的な指針が書かれているわけではありません。なのに、地球が何を失おうとしているのか、人間は何を壊そうとしているのかを否応なく考えさせられます。



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