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最終更新 2010/10/28
  特 集  


特集 | ECO(=エコ)ラムエコモーション Pick Up





  リサイクル

 埋め立てるか、燃やすか―。ごみがごみでしかなかった時代の選択肢は2つしかありませんでした。しかし今では、「ごみの山には“資源”が埋もれている」という考え方が浸透してきています。その原動力となっているのが、日々進歩するリサイクル技術。でも、わたしたちはそれらの資源を十分に生かし切っているでしょうか。リサイクルの現場を見学し、家庭で取り組めることを考えました。





廃棄物を再資源化
 熊本市植木町の山鹿植木広域行政事務組合・リサイクルプラザを訪ね、リサイクルの現場を見ました。同施設では、山鹿市と熊本市植木町で集められる不燃・粗大ごみ、瓶・缶類、ペットボトル、その他プラスチック、白色トレー、紙パック、古紙などの資源ごみを処理しています。これらはトラックで次々と運び込まれ、最新の自動化ラインで破砕、選別、圧縮されたり、手作業で仕分けされたりして、新たな資源に生まれ変わるための準備が施されます。
 昨年度の搬入量は3081トン。稼働を始めた2003年度の約1・7倍に増えました。リサイクル施設で資源ごみの処理量が増えるほど、焼却や埋め立ての量が減ることになるわけですが、食品トレーや「プラマーク」の付いたインスタントラーメンの中に入っている小袋、菓子類などの個包装は、資源ごみなのに可燃物として捨てられるケースがまだまだ多いそうです。これらは分別洗浄して出さなければ資源ごみにはなりません。家庭でのひと手間が、資源として再生できるか、ごみとして燃やされるかの分かれ道となります。




白色トレー、紙類は・・・
 一時保管される白色トレー、紙パック、段ボール、新聞・雑誌などは、家庭から出されたままの状態で業者に引き取られます。わたしたちの貢献度が最も試されます。



リサイクル施設の仕組み
〈取材協力/山鹿植木広域行政事務組合・リサイクルプラザ〉

【1】資源ごみの搬入

受け入れて種類分け/「その他資源物」は貯留場行き
 リサイクルプラザに運び込まれる資源ごみは、種類ごとに専用のラインに投入されます。処理用の自動化ラインは「不燃・粗大ごみ」「かん類」「びん類」「ペットボトル/その他プラスチック」の4つ。このうち不燃・粗大ごみは、自動化ラインでは回収できない家電類の基板やモーター、コード、ステンレス、真ちゅうなど(写真右上)を手作業で選別します。また、びん類のリターナブル瓶は保管し、プラスチック類の白色トレーは袋詰めされます。紙パック、段ボール、新聞・雑誌などの「その他資源物」は貯留場に直行します。


【2】ライン・選別

         上から茶びん、透明びん↑
不燃・粗大ごみは破砕びん類は色ごとに
 不燃・粗大ごみは破砕機で細かく砕き、鉄を回収した後、不燃物と可燃物に分けられます。かん類はスチール缶、アルミ缶に選別。びん類はコンベヤーに運ばれ、手作業で茶、透明、その他の色に分別されます。「ペットボトル/その他プラスチック」は異物を除去します。


【3】原料にする


圧縮成形された缶(上)とペットボトル梱包品
成形して梱包/加工・再生業者へ
 不燃・粗大ごみの不燃物は最終処分場、可燃物はアルミを回収して焼却施設へ。スチール缶、アルミ缶は圧縮成形され、「ペットボトル/その他プラスチック」は圧縮・梱包(こんぽう)されます。これら“原料”が、次のステップである加工・再生のため、業者に引き取られていきます。



〈熊本市の小冊子「ごみとリサイクル」平成22年度版より〉


わたしたちが取り組めることは―
 リサイクルの目的は、資源の循環利用によって、捨てられるごみの量を抑え、焼却など処理に伴う環境負荷をできるだけ減らすこと。普段から資源を無駄にしない意識を大切にしているという山鹿市の主婦、松田恵美子さん(58)に、実践例などをアドバイスしてもらいました。

とことん使い切り“残り物”を資源ごみに
 「ごみを捨てる時のことを考えて買い物をしましょう」と松田さん。トレー入り、パック詰めなど、ごみになるものは極力買わないそうですが、小分け包装が主流になっている今、難しいのもまた現実です。ならば、とことん使い切り、最後の“残り物”を資源ごみに、というのが“松田流”。そうすれば焼却せずに済みます。
 紙類はすべて取り置きしますが、新聞紙は必要分をキッチンペーパーに流用。着古した衣類はカットして鍋や台所の油汚れふきに。食品類の包装の大半は「その他プラスチック」。すべて「資源ごみ」としてストックするそうです。「でも、いいことをしていると安心しては駄目。リサイクルには再生過程で環境負荷が生じる一面もあるのです。資源を無駄にしない意識が大切。“リフューズ(不要な物は断る)”を加えた4Rの推進を消費者側から社会に訴えたい」と松田さんは話しています。


衣類

松田恵美子さん(主婦/山鹿市)

その他、プラステック

紙類

着古した衣類はカットして調理具などの油汚れふきに、食品類の包装は「資源ごみ」としてストックしているという




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 ECO(=エコ)ラム【3】 

くまもとエコモーションキャンペーン
総合コーディネーター

篠原 亮太さん(熊本県立大学環境共生学部教授)
生態系の異変
許されない外来種放置
 名古屋市で29日まで「生物多様性条約第10回締約国会議」(COP10)が開かれており、種や生態系全体の保全、生態系から得られる利益の公平な分配などについて、世界レベルで議論されています▼健全な生態系とは、生物量、種類共に豊かな状態をいいますが、近年、生態系に異変が起きています。その一因が外来種の侵入です。国際化が進み、植物の種や観賞生物などが海外から頻繁に持ち込まれています▼県内でも、特定外来種Aに指定されているブラジルチドメグサが菊池川水系に繁茂して水環境を悪化させ、また、スポーツフィッシング魚として放流されたブラックバスなどの肉食性淡水魚が、在来魚を食べ尽くしています。全国で有害魚の駆除が試みられていますが、改善のめどは立っていません▼人間がむやみに外来種を自然界に放置することは許されません。この生態系は人間だけのものではないのです。

◇しのはら・りょうた 1973年、北九州市環境衛生研究所入職。99年から現職。「くまもとエコモーションキャンペーン」総合コーディネーター。福岡県出身。
 エコモーション Pick Up vol.5 

親子で楽しくエコ体験
「総ぐるみ くまもと環境フェア2010」
30日(土)午前10時〜、熊本市動植物園

 環境問題を楽しく考え、身近なエコ活動につなげてもらおうと、「総ぐるみ くまもと環境フェア2010」が30日、熊本市動植物園で開かれます。県、熊本市のほか、市民・事業者・民間団体らでつくる「エコパートナーくまもと」などが主催。
 子どもも大人も楽しめるイベントがめじろ押し。竹はし作りや電動アシスト自転車試乗、太陽光発電など、さまざまな体験ブースが設けられるほか、家庭での節水、省エネ、ごみ減量を啓発するパネル展示などを実施。特設ステージではウルトラヒーローが登場し、ゲーム・クイズ大会も行われます。抽選ですてきな賞品が当たるクイズラリーも。
 入園料は大人200円、中学生以下は無料。
昨年のフェアで実施されたエコバッグ作り体験の1コマ =熊本市(同市提供)


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