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最終更新 2013/01/30

  

 枯渇が心配される石油などの化石燃料資源を節約しようと、資源を繰り返し使う資源循環型の社会を目指す取り組みが進んでいます。中でも廃棄物を資源化して再利用するリサイクルは、循環型の社会づくりに重要な役割を担っており、とりわけ、私たちが普段取り組んでいるごみの分別が大きく関わっています。

 再生される資源物で身近なものはペットボトルや紙、瓶・缶、プラスチック製容器包装、ガラス類など。これらを環境工場などでいったん原材料に戻し、元の姿に再生したり、別の製品に生まれ変わらせたりするのが、一般的なリサイクルの流れです。「リサイクルが推進されれば、化石燃料が節約される分、天然資源が長持ちします」と話すのは県立大環境共生学部の石橋康弘教授。さらに「リサイクルを進めるにあたっては、ごみの分別が重要になるので、環境教育の面でも有効です」と言います。

さらに分別の徹底を
 県廃棄物対策課によると、熊本県の2010年度のリサイクル率は18・4%(総資源化量10万3750トン)。1999年度の11・9%(同8万2775トン)から6・5ポイント上昇し、15年度で25%(同14万3000トン)を目標としています(左グラフ参照)。「県民の分別意識の高まりと実践の成果ですが、25%達成のためには、さらなる分別の徹底と生ごみの減量が求められます」と同課。
 リサイクル技術は既に確立したとも言われますが、採算が合わない、意識がまだ社会に広く浸透していないなどの理由から、運用が追い付いていないことが課題となっています。「今後は費用の面でも、運用の面でもうまく推進する仕組みづくりが必要でしょう」と石橋教授は話しています。


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(熊本市リサイクル情報プラザのホームページを参考に作成)


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  水俣市にある県環境センターでは、環境に関わる市民参加型のさまざまなイベントを開催しています。1月20日には、使用済みのガラス瓶を再利用した万華鏡や、紫外線で色が変わるUVビーズストラップを作る教室があり、親子など22人が参加。ごみも工夫すれば何かに転用できるという考え方を、楽しい体験を通じて学びました。 イメージ


教室の1コマ=県環境センタ


 インストラクターを務めた環境指導員の浅野亮一さんは、ごみの話から始めました。「今、日本全体のごみは、私が子どものころの3倍以上の5千万トンに増えました。だから、ごみ減らしの“3R”に取り組む必要があります。万華鏡作りはその中のリユース(再利用)です」
 万華鏡の主な材料は、再利用できる身の回りの品などの2次利用品です。筒の中でさまざまな色や模様を生み出すカレットのもとはガラス瓶。リユースできない色付き瓶を粒状に砕き、角を削って再利用しています。筒にはトイレットペーパーの芯、外装も包装紙を使っています。
 まず、筒となるトイレットペーパーの芯の片方に、のぞき穴の開いた黒い丸紙をかぶせ固定。次に鏡用の銀紙を三角の筒にして、丸い筒の内側に挿入。底のプラスチック容器は透けないよう内側を紙やすりでこすってカレットを入れ、透明のふたをかぶせます。これを筒の反対側にはめ込めば完成。「ごみとして捨てていた物も、こうして使えるんですよ」と浅野さん。
 一人一人の個性が出るカレットの色選びでは子どもたちから歓声も。親子で、友達同士で和気あいあいに楽しい工作の時間を過ごしました。子どもたちは穴をのぞいて、美しい色や模様に大喜び。午後はUVビーズストラップ作りに挑戦しました。


  出来上がった万華鏡


活動に参加してー

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川中 今日子さん(33)
鹿児島県出水市・法律事務所勤務
  子どもたちが、環境センターの活動が好きで、よく参加しています。きょうは万華鏡の仕組みが分かったのが収穫でした。普段から節水や分別を心掛けていますが、水俣市の厳しいごみ出しルールは刺激になります。
 

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雜賀(さいが) 大賢君(10)、津奈木町・小4
  環境センターのイベントには1年生のころから何回も来ていて、いつも楽しいです。万華鏡作りはきょうが2回目で、うまくできました。理科が好きなので、環境学習の授業は面白いと思います。
 

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東 史菜さん(8)、水俣市・小2
 学校でリグラスアートをやったので、カレットがガラスだというのは知っていました。万華鏡作りは初めてだけど、難しくなく面白かったです。中をのぞいたらとてもきれい。また来たいと思いました。


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エコモーションPickup【7】
不用品の有効活用
廃タイヤがすてきな雑貨に
 本来、捨てられるはずだった物が、すてきなリメーク雑貨に―。菊陽町在住の美容師・井上保さん(46)は5年ほど前から、自転車の廃タイヤを使って小銭入れやキーケースなどを製作しています。
 趣味として銀細工を学ぶため、近所のリメーク教室に通い始めたのがきっかけといいます。材料のタイヤは知人の自転車店から調達。洗浄して適当な大きさに切り、2つ折りにしてタイヤチューブでとじ合わせ、ビスやラインストーンで装飾。手作りならではの味わい深い作品に仕上がっています。すべて井上さんが経営する熊本市の美容室に展示され、希望者には販売もしているそうです。
 「最初はエコの意識はなかったんですが、続けるうちに環境問題への関心が深まり、いろんな物がもったいないと思えるようになりました。今後も楽しみながら続けていきたい」と井上さん。問い合わせはガイズヘアー・リッキーTEL096(371)8000。
  
製作者の井上保さん(左)と、廃タイヤで作られた小銭入れなどのリメーク雑貨
 


しのはらセンセイのECOラム【7】
トレードオフの最適化
最新の正しい情報開示必要
 一方を追求すれば他方を犠牲にせざるを得ない状態や関係を「トレードオフ」といいます。日常生活はトレードオフの積み重ねで成り立っています。環境問題にも多くのトレードオフがあります。例えば廃棄物のリサイクルでは、資源を回収できますが、その過程で温暖化ガスである二酸化炭素(CO2)が排出されます。ごみの分別は、ごみの減量はもちろん、処理に伴うCO2排出量を減らす意味もあります。同じ作業でも人の労力や知恵で環境負荷を可能な限り減らすことができます。これを「トレードオフの最適化」と言いますが、最適化は、技術の進歩や社会環境の変化とともに変わることも確かです。原子力発電は燃料が安く、安定した電力が得られることから、世界中で導入が進められてきました。しかし、核燃料廃棄物の処理や廃炉解体には膨大なエネルギー消費と放射能汚染のリスクが伴うことが、東日本大震災を機にようやく議論されるようになりました。環境のトレードオフの最適化を考えていくには、最新の正しい情報開示が必要です。

くまもとエコモーションキャンペーン 総合コーディネーター
熊本県立大学環境共生学部教授 篠原亮太さん


◇しのはら・りょうた 1973年、北九州市環境衛生研究所入職。99年から現職。
「くまもとエコモーションキャンペーン」総合コーディネーター。福岡県出身。



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