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最終更新 2012/12/20


 政府がこの冬の電力需給対策として、沖縄を除く全国9電力管内に要請した節電期間が、今月3日に始まりました。九州電力管内では、来年3月29日までの平日(12月31日~1月4日の年末年始は除く)に節電が求められています。寒い冬は1年のうちで最も電力消費がかさむ季節で、特に家庭での使用が増える傾向にあります。家庭でできる節電・省エネ対策について考えました。

 冬場に電力使用量が増える要因は、暖房器具と照明器具の使用頻度。環境省九州地方環境事務所の遊佐(ゆさ)秀憲環境対策課長は「冬は気温が低く日照時間が短いので、室内で過ごす時間が長くなり、消費電力も増加しやすい」と言います。冬場の電気使用のピークは朝と晩の2回あり、九州電力も、午前8~11時と午後5~8時の時間帯を重点的節電時間としています。この間の消費電力の抑制が省エネの大きなポイントとなりそうです。
 暖房器具の場合、エアコンやこたつ、ホットカーペットなどの電化製品に加え、石油などの化石燃料を使うストーブやファンヒーターを併用するケースも増加。そのため「節電・省エネを心掛ければ、二酸化炭素(CO)の排出削減など環境保全にもつながります」(遊佐課長)。

無駄を省いて節電
 家庭での電力消費はエアコン、冷蔵庫、照明器具、テレビの4家電で全体の半分以上を占めます。いずれも長時間付けっ放しにすることが多く、照明器具やテレビは小まめに電源を切ったり、暖房は設定温度を下げたりすることで消費電力を抑えられます。さらに、「家族が別々の部屋で過ごすのをやめて一部屋に集まるウオームシェアや、室内でも厚着をするウオームビズを実践すれば、無駄な電気やエネルギーを節約できます」と遊佐課長。
 部屋の熱気は窓から逃げることが多いため、「窓や雨戸に気泡緩衝材や断熱シートを貼る」「カーテンを厚手のものに替える」「窓際に膝丈高のついたてを置く」なども効果的といいます。また暖かい空気は部屋の上部にたまりやすいことから、遊佐課長は「扇風機などで空気を循環させると室温が均一になりやすい」とアドバイスします。




 外気温度6℃で、2.2kWのエアコンの暖房設定温度を21℃→20℃にして、1日9時間使用した場合
 

外気温度6℃で、暖房の設定温度を21→20℃にして、1日9時間使用した場合

 

3畳用で、設定温度を「強」→「中」に下げ、1日5時間使用した場合

 

温度調節を「強」→「中」に下げ、1日5時間使用した場合
 

54Wの白熱電球1灯の点灯時間を1日1時間短くした場合


12Wの蛍光ランプ1灯の点灯時間を1日1時間短くした場合
 
(出典/省エネルギーセンター「家庭の省エネ大事典」2012年版)






  東日本大震災に伴う原子力発電所の事故で全国的にエネルギー問題への関心が高まる中、県内でも省エネに関するさまざまな啓発活動が展開されています。11月29日、熊本市中央区草葉町の中央公民館であった「暮らしに役立つ!冬の省エネ講座」(同市・同市地球温暖化防止活動推進センター主催)を見学しました






 同講座は「家庭でできる省エネ・温暖化対策」をテーマに、市内5区の各公民館で開催。この日は熊本市地球温暖化防止活動推進センターの田中芳夫事務局長と、同活動推進員の4人が、賢い冬の過ごし方などを紹介しました。環境問題に関心の高い市民約30人が参加し、熱心に聴き入りました。
 田中さんによる地球温暖化に関する概要説明の後、平嘉隆推進員が、起床から就寝まで一日の生活に沿って、身近にできる省エネ・エコ活動を解説。「冬の対策、失敗アレコレ」と題した講座では、前本昭雄さん、岩佐弘子さん、山村恭子さんの推進員3人が省エネ実践例を、自らの失敗談を交え解説しました。前本さんの「食卓の蛍光灯をLEDランプと省エネ蛍光灯に交換したら、暗くて新聞が読めなくなった」というエピソードには、参加者から笑い声も。改善策として、照明の光を天井へ逃がさないようにする工夫が紹介されました。また暖房器具の省エネについて前本さんは、「部屋全体を暖める必要はない」との発想から、足元と膝、腰を温める「ミノムシ作戦」を披露。その他、節水や生ごみ減量のアイデアも紹介してくれました。
 最後に、廃油を再利用したエコキャンドルに明かりがともされ、会場は幻想的な雰囲気に包まれました。


火がともされた
エコキャンドル




  「エアコンの設定温度を2℃下げる。部屋に間仕切りを付ける。カーペットやこたつの下に段ボールや新聞紙を敷く―などを実践しても節電効果が少なかった」と前本さん。「ミノムシ暖房は移動が簡単で、コンセントの位置を替えるだけで済みます」




イベントに参加してー

写真
  みんなのちょっとした気配りで、省エネができることを実感しました。私も買い物などにエコバッグを持ち歩いたり、ごみを捨てるときはきちんと分別したり、身近なところからエコ活動を実践しています。   夜、トイレに行く時や部屋間の移動の際、電気をつけずに懐中電灯を使うなど独自の方法で省エネを実践中ですが、講師の皆さんの知恵と実行力には感心しました。特に段ボール堆肥作りに興味がわきました。



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エコモーションPickup【6】
LED照明の省エネ効果
消費電力が10分の1に
 近年、省エネ家電として注目を集める発光ダイオード(LED)照明。県内でも商業施設やオフィスなど、あちこちで見かけるようになりました。
 実際にどれだけの節電効果があるのでしょう。熊本市地球温暖化防止活動推進センターの田中芳夫事務局長によると、一般的な白熱電球とほぼ同じ明るさの電球型LEDランプの消費電力を比べた場合、白熱電球対し、LEDランプは約10分の1に抑えられるそうです。また使用寿命は、白熱電球の3000時間に比べLEDランプは約4万時間といわれ、10~15倍程度長持ちする計算になります。最近は、照明の明るさを調整できる機能が付いたLED照明も登場しており、無駄なく節電できるようになりました。
 しかしLED照明は一般電球に比べまだ高価で、一般家庭にはまだ十分に普及していないようです。田中さんは「照明が長く使われる場所、廊下などすぐに明るくする必要がある場所、また高い所や交換に手が掛かる場所などで、徐々に切り替えていってはいかがでしょう」とアドバイスします。
イラスト


しのはらセンセイのECOラム【6】
放射能による環境汚染
責任問えない理由は?
 戦後の経済成長に伴い発生した公害を解決するため、1967年に公害対策基本法が制定されました。その後、地球規模の環境問題が注目されるようになり、これに対応する法律として、93年に環境基本法が制定されました。東日本大震災で放射能の汚染問題が発生しましたが、放射能による環境汚染防止に関する条文は、環境基本法の中にありません。強いて挙げれば、第13条に、放射性物質による大気の汚染等の防止は「原子力基本法その他の関係法律で定める」とあります。ただ原子力基本法には、放射性物質の取り扱いにおける放射線障害の防止はうたってあるものの、環境を守る条文はありません。環境基本法には環境への有害物質の排出に関して厳しい基準があり、また排出者への罰則や損害賠償が定められています。しかし、現状では放射性物質を環境に出しても刑事罰を科す規制はありません。「3・11」の事故で起きた放射能汚染や膨大な経済的損失に対し、誰も責任を問われていない理由は、今のところ適用すべき法律がないからです。

くまもとエコモーションキャンペーン 総合コーディネーター
熊本県立大学環境共生学部教授 篠原亮太さん


◇しのはら・りょうた 1973年、北九州市環境衛生研究所入職。99年から現職。
「くまもとエコモーションキャンペーン」総合コーディネーター。福岡県出身。



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