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最終更新 2012/11/28
case. くらしの中のゴミ 意識次第でさらに減量  

 高度経済成長の負の側面としてごみ問題が浮かび上がってから、わが国ではさまざまな減量対策が進められてきました。環境活動の「3R」(リデュース=減量、リユース=繰り返し使う、リサイクル=再資源化)の技術は向上し、光明も見え始めています。しかし、効果が出るかどうかは取り組む人の意識にかかっています。

 県内の年間のごみ(一般廃棄物)総排出量は、ピークだった1999年度(69万7千トン)以降、年々減少。1人1日当たりの排出量も減少の一途をたどっており、2010年度は836グラムでした。これは沖縄県に次いで全国2位の少なさで、99年度の1023グラムと比べると約18・3%も減っています。その大きな要因となっているのが、県のごみ総排出量の約45%を占める熊本市の施策。「09年の家庭ごみ収集有料化、10年に始まったプラスチック製容器包装の分別収集の2つの取り組みが目に見えて影響しているようです」と県廃棄物対策課。

“水切り”で減らそう
 しかし、ごみの内訳を見ると楽観はできません。家庭から排出される生活系のごみは徐々に減っているとはいえ、総排出量の6割以上を占める状況が続いています。「家庭から出される可燃物の約半分は生ごみで、その半分は水分です。水切りを十分にすれば軽量化でき、もっとごみの量は減るはず」(同課)。生ごみの水を切り、搾るというひと手間は決して難しいことではなく、みんなで取り組めば家庭ごみは確実に減らせそうです。
 家庭の生ごみを減らす対策としてこのほか、電動式の生ごみ処理機や堆肥化容器(コンポスト)などを活用する方法もあります。これらの利用を促そうと、機材購入の際に自治体が補助金を設ける動きが広がっています。
図:熊本県のごみ総排出量と1人1日当たりのごみ排出量推移〈県まとめ〉注)合計は小数点以下の四捨五入の関係で合わない場合があります。




家庭で手軽にできるごみのダイエット「Report 2012.11.18」
    生ごみを家庭で手軽に堆肥化できる「段ボールコンポスト」。ごみのリデュース(減量)とリサイクル(再資源化)の2つの効果が得られ、県内でも普及に向けた取り組みが進んでいます。11月18日、熊本市東区戸島町の同市リサイクル情報プラザであった体験教室を見学しました。

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熊本市の同市リサイクル情報プラザであった体験教室の1コマ


  同教室は、熊本市が市民に呼び掛けている「生ごみ減量1人1日20グラム」の実行例の一つとして、普及促進を目的に開催。同プラザでは年3回程度、開かれています。段ボールコンポストは、段ボール容器内の基材(土壌改良剤のピートモスや、もみ殻くん炭など)に生ごみを混ぜ、微生物の分解作用で堆肥化させるもので、少ない費用で冬場も室内で行えるのが利点です。
 この日は「ダンボールによる生ゴミ堆肥化を推進する会」(宇城市)の森川公子会長など3人の講師が指導。市内から訪れた親子連れやシニア世代など幅広い年齢層の人たち20人が、段ボール容器の組み立てや、“微生物の寝床”となる基材作りを体験、日々の運用の仕方や管理法などについて説明を受けました。「入れたごみが毎日分解され、減る様子が分かるとうれしくなりますよ」と森川会長。
 容器の完成後、参加者は「何日も家を留守にするときはどうすればいいですか?」「基材はどこで売られていますか?」「虫がわいた場合の対処法は?」などと盛んに質問。「早速きょうから試してみます」と意気込んでいました。





 ★段ボールコンポストの主なメリットと波及効果
手軽にでき、費用対効果が高い。
自宅で使った食材を使うので、
安全・安心な堆肥ができる。
必要以上に買わない、作らない、
という意識が高まる。
食材を使い切るエコクッキングを
心掛けるようになる。




 



《用意するもの》
● 厚めの段ボール箱(縦40センチ×横30センチ×高さ30センチ程度のものがお勧め)
● 底補強用の板状段ボール
● 基材…ピートモス(ミズゴケ)12リットル、くん炭(もみ殻を焼いて炭にしたもの)8リットル
※いずれもホームセンターの園芸用品コーナーなどで手に入ります
● 新聞紙(朝刊2~3日分)
● 下敷き用の台(苗ケースのような通気性のあるもの) 
● コンポストキャップ(段ボールの上にかぶせるもの。着古したシャツなどでも代用可)
● その他、水500ミリリットルペットボトル×2本、ガムテープ(布製)、ゴム手袋

底ぶたを“はす交い”に組み、上ぶたは立ち上げ、四隅を5センチ程度のテープで2カ所ずつ留める。
※通気性を確保するため、テープは少し隙間を開けて貼る

3枚に重ねた新聞紙を箱内の4つの側面と底のサイズに合わせて折り、それぞれ密着させて貼る。底面を板状段ボールで補強し、四隅をテープでしっかり固定。

くん炭を先に入れ、次にピートモスを入れ、混ぜ合わせる。水を数回に分けて加え、手で握り締めて固まるくらいまで底からかき混ぜる。

防虫・防臭・保温用のキャップをかぶせたら完成。底部の通気性を確保するため、風通しのよい苗ケースのような台の上に置く。




イベントに参加してー


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発田(ほった)充弘さん(36)、熊本市・会社員
 6人家族のため、ごみの量が多く、減量したいと思っていました。また、この秋から家庭菜園を始めたので肥料代の節約にもなればと、参加しました。身近にできるのがいいですね。家族で協力して続けたいです。

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肱岡李花(ももか)さん(9)、熊本市・小3
 段ボール箱で生ごみをリサイクルするのは、前に見たことがありました。きょうの体験教室は、私が「行こう!」とお母さんに言いました。作業は楽しかった。毎日生ごみを入れるお手伝い、ちょっと頑張ろうかな。



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エコモーションPickup【5】
段ボールコンポストの活用法
有機肥料として再利用も
 段ボールコンポストは、作ったその日から使えます。熊本市リサイクル情報プラザの体験教室で製作したものは、1日のごみ投入量の目安が500グラム。量が少なすぎると乾燥して発酵が進まず、多すぎると腐敗するそうです。生ごみを入れたら、その都度かき混ぜます。「発酵を促すには、野菜くずだけでなく魚なども必要。毎日ごみを入れても微生物が分解してくれるので、かさは増しません。生魚の頭、骨、内臓などの臭み消しには熱湯をかけるのがコツです」と「ダンボールによる生ゴミ堆肥化を推進する会」の森川公子会長。
 生ごみ投入を終了するタイミングは、約3カ月が目安といいます。その後、生ごみを入れずに5日間ほど混ぜて、ふた付きの容器か厚手のビニール袋に入れ、さらに約1カ月間熟成させると、有機肥料として、プランターや花壇などに利用できます。「自宅で消費できなければ、体験教室などを通じて知り合った人たちと融通し合うのもよいでしょう」(森川会長)
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しのはらセンセイのECOラム【5】
リサイクル活動
もっと知りたい“分別後”
 熊本市の過去5年の家庭ごみ排出量をみると、市民の努力が功を奏し、毎年4~6%ずつ着実に減少しています。家庭から出されるごみは市町村が責任を持って処理することが法律で定められ、処理費用はすべて税金で賄われています。そのため家庭ごみが減れば税金の使用が減り、市町村の財政に余裕が出ることになります。ごみ減量活動には、3R(リデュース・リユース・リサイクル)というキーワードがあります。このうちリサイクルでは、紙、缶、瓶などを資源物として分別し、指定された日にごみステーションに運んでいます。しかし、さまざまな資源物が最終的にどこに集められ、どう処理され、どんな形・製品に再生されているか、知っている人は少ないでしょう。分別の重要性は理解されていますが、何だかすっきりしないものがあります。分別された物がどんな物になって戻ってくるのかを知ることができれば、活動にもっとやりがいを感じるであろう、と思うのは私だけでしょうか。

くまもとエコモーションキャンペーン 総合コーディネーター
熊本県立大学環境共生学部教授 篠原亮太さん


◇しのはら・りょうた 1973年、北九州市環境衛生研究所入職。99年から現職。
「くまもとエコモーションキャンペーン」総合コーディネーター。福岡県出身。



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