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最終更新 2011/10/26

ひと工夫で省エネ、ごみ減量

vol.4 台所から考えるエコ

 ごみは毎日の暮らしと切っても切れない関係―。しかし、私たちの意識とアイデア次第で量を抑えることは可能です。家庭から出されるごみの約4割が、食べ物の残りかすなどの生ごみといわれ、この生ごみを減らすことが、ごみ減量の鍵といえそうです。また食べ物を扱う台所は、電気やガスを使う器具がたくさんあり、エネルギーを多く消費する場所でもあります。環境省職員の夫と、中学生、幼稚園の子どもの4人暮らしで、普段から環境に優しい暮らしを心掛けているという熊本市の主婦・遊佐(ゆさ)淑代さん(49)に、台所でできる生ごみ減量への配慮や省エネの工夫などを聞きました。 






準備  食材の買い過ぎ防ぐ
エコバッグの使い分けも
 
 「生ごみを減らすためにまずやるべきことは、食材の買い過ぎを防ぐこと」と遊佐さん。
「家族構成などに配慮し、必要な物・量だけを購入するようにしましょう」と話しています。


 遊佐さんは買い過ぎを防ぐため1週間単位の大まかな献立を決めて、メニューに合わせ、必要に応じて材料を買い足すようにしているそうです。
 「買い物の際のレシートをノートなどに貼っておけば“在庫管理”に便利。使い切った分をペンで消していき、繰り越しは次回のメニューの献立に利用して、使い残しを防いでいます」と遊佐さん。
 もう一つの買い過ぎ防止策として、エコバッグを有効活用。予定していた以上の買い物をしないよう、購入物の種類や量によってエコバッグを使い分けているそうです。遊佐さんは「折りたためる薄手のものから、底の広いものまで大・中・小10種類以上用意しています。その日の気分によって使い分けるのも楽しいですよ」。
 環境保全全般に目を向ける遊佐さんは、地産地消にも配慮。熊本や九州で採れた食材を積極的に選んでいます。「食べ物が運ばれる距離を考えれば、地物の方が当然新鮮。少々、形が悪くても割安で手に入り、家計も助かっています」と言います。


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料理

 
 洗う、切る、熱(火)を通す―。料理の一連の過程を見直し、工夫することで、
ごみ減量や省エネ、節水に貢献できることも多いようです。


切り方工夫し調理時間短縮
電子レンジを有効活用して
常備菜に重宝!!
野菜の皮・切りくず
 まずは材料の水洗い。「節水のため、野菜などはボウルや洗いおけにためた水で粗洗いし、泥など落ちにくい汚れだけを流水で軽く洗い流すようにしてほしい」と遊佐さん。「“出しっ放し”でのすすぎは大きな無駄です」
 野菜や肉など材料への熱(火)の通りをよくすれば調理時間が短縮され、電気・ガスなどのエネルギー消費を抑えることができます。「例えば、ニンジンやダイコンなどは千切り、銀杏切りなどで薄く、タマネギはスライスやみじん切りにすると火が通りやすくなります」(遊佐さん)。 料理によって材料の形を残したい場合は電子レンジで余熱を与えておくと、煮たり、炒めたりする時間を短縮できるそうです。
 さらに遊佐さんは「熱を通す料理は、朝のうちにまとめて昼食と夕食分の下ごしらえをしておくと、電気やガスを使う回数が減るので、省エネにつながります」とアドバイスします。
  捨ててしまいがちな野菜の皮や切りくずなども、手を加えることで立派な食材に。最後まで使い切ることでごみ減量につながります。遊佐さんは「細かく刻んで、しょうゆやみりんなどで味付けすればご飯やお弁当のおかず、おつまみの常備菜として重宝。冷蔵庫に入れておくと保存も利きます」。
 このほか、ミカンやレモンなどかんきつ類の皮も捨てずに乾燥させ、入浴剤として二次利用しているそうです。「ネットに入れて湯船に浮かべれば、爽やかな香りが浴室いっぱいに漂い、体もよく温まります。寒くなるこれからの季節にお薦め」と遊佐さん。
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冷蔵庫は使い方次第で消費電力に差
イメージ  冷蔵庫の消費電力量は物の詰め方にも左右されます。冷蔵室は、冷気を巡回させるため詰め過ぎないことが大切。反対に冷凍室は、冷気が逃げないよう、隙間なく詰めた方が省電力につながるそうです。保冷剤をうまく活用すれば、より早く冷やすことも。





炊飯器の保温と電気ポット使用は控えめに
 ご飯を炊飯器で長時間保温すると無駄な電力を使い、お米の風味も損なわれます。まとめ炊きしてラップで冷凍保存し、その都度、電子レンジで温め直した方が省エネになるそうです。また、電気ポットを保温用ポットに替えるだけでも節電効果があるようです。 イメージ



保存・後片付け

 
 余った食材は無駄にしないよう、できるだけ長く鮮度をキープしたいもの。
保管する際の少しの配慮が“持ち”を左右するようです。ポイントをまとめました。



  葉菜は紙に包んで、根菜は立てて
 ハクサイやキャベツなどの葉菜類は新聞紙など通気性の良い紙で外側を覆うように包み冷蔵庫へ。遊佐さんは「ラップよりも効果大」と言います。ダイコンやニンジンといった根菜類や長ネギなどは立てて冷蔵すると鮮度が落ちにくいそうです。

 薬味野菜は用途別に加工、冷凍庫へ
 薬味野菜の代表格・ショウガ。「用途によって固形や千切り、スライスなど切り方を変え、ビニール袋に入れて冷凍保存すると長持ちします」 と遊佐さん。「青ネギは小口切りに、白ネギは小口切りや斜め切りなどにして冷凍してください」

  ご飯、食パンは必要量をラッピング
 ご飯は1食分ずつラッピングして冷凍保存。「電子レンジで解凍すれば、いつでもホカホカご飯を食べられます」(遊佐さん)。食パンも同様に1枚ずつラップにくるみ保存、そのままトースターで焼けば、こんがりパンを味わえるそうです。

生ごみは小まめに捨てて---
 生活から生ごみを完全になくすことは難しいですが、なるべく環境への負荷を小さくして捨てたいものです。「衛生上からも、小まめな廃棄を心掛けている」という遊佐さんが実践する処理方法を紹介します。
 【1】流し台の排水口と三角コーナーにネットをかけ、1日分の生ごみをまとめておく。   【2】夜、台所仕事が終わったらネットを外し、口を止めて生ごみの水分を絞る。ちなみに、生ごみの約8割が水分といわれ、十分に水切りするだけでも効果的なごみ減量に。    【3】容器の中にポリ袋や紙袋をセットし、底に新聞紙を敷いて1日分の生ごみを入れ、新聞紙でふたをする。におい消しと消毒のため酢水を吹きかける。同じ要領で毎日重ねていき、ごみ収集日に袋ごと捨てる。「ごみに直接触れないので、手が汚れません」(遊佐さん)



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エコモーション PICK UP【4】 しのはらセンセイのECO(エコ)コラム【4】
家庭のごみ減量に一役
生ごみ処理機、堆肥化容器


 家庭から出る生ごみを減らす対策の一つとして、家庭用の電動式生ごみ処理機や、生ごみ堆肥化容器(コンポスト)などを利用する方法があります。
 電動式生ごみ処理機は、温風による乾燥型と、堆肥化資材で分解させるバイオ型に大別されます。家電量販店などで販売されており、メーカーやサイズ、性能によって4万円台〜10万円前後。利用することで生ごみの体積が減り、廃棄に伴う環境負荷などを軽減。処理物は有機肥料としても活用できます。
 生ごみ堆肥化容器は、細菌の働きを利用して生ごみを肥料に変えるものです。ごみを直接土に埋めて使う地上設置型と、発酵促進剤を用い、バケツの中でごみを発酵・分解させる屋内設置型が一般的です。ホームセンターなどで購入でき、価格は容量などによって1500円〜1万円前後。また近年は、段ボール箱を利用した堆肥づくりが、安価で手軽に取り組める方法として推奨されています。
 こうした生ごみ処理機や堆肥化容器の利用を促そうと、自治体が、購入の際の補助金を設ける動きが広がっています。県廃棄物対策課によると、1月現在、熊本市など県内34市町村で補助制度を実施。詳しくは最寄りの市町村へ問い合わせを。
なくならない飢餓
「食べ物への感謝」取り戻そう

 農林水産省によると、世界の穀物生産量は2008年に過去最高の22億トンを記録しました。世界の総人口約68億人が1人当たり年間320キロ以上食べられる計算になります。ちなみに日本人は、穀物を1人当たり年間約160キロ消費。これに野菜や肉、魚を加えれば、世界から飢餓はなくなるはずですが、実際は世界人口のおよそ6人に1人が飢えに苦しみ、毎日約2万4千人が餓死しています▼要因の一つとしてアフリカなどの開発途上国では、植民地時代からの名残で、先進国に輸出するための換金作物生産を強いられてきた歴史があります。国際協力で訪ねたコートジボワールの農地でもコーヒーとカカオの大プランテーションしか見当たらず、主食はフランスからの輸入品ばかりでした。単一作物のため国際市場の影響を受けやすく、内戦などで物流が途絶えれば、途端に飢餓が襲います▼「飽食の時代」といわれる日本では年間約1900万トンの食品が廃棄されています。これは世界の食料援助量の約3倍に相当します。食べ物に感謝してきた日本人の心を取り戻す時が来たようです。
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くまもとエコモーションキャンペーン 総合コーディネーター

熊本県立大学 環境共生学部教授
篠原 亮太さん



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