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最終更新 2010/08/25
  特 集  


特集 | ECO(=エコ)ラムエコモーション Pick Up





  くらしと水
 豊かな水資源に恵まれた熊本県民は、飲料水のほか、洗面やトイレ、台所、風呂などに使う水の多くを地下水に頼っています。他県の人から見れば、大変恵まれているといえるかもしれません。しかし、地下水は、限りある資源。使い過ぎたり、汚したりしてしまえば、将来使えなくなってしまうことが考えられます。“宝”を守るか、使い果たすか―。わたしたちの意識と行動にかかっています。

全国有数の豊富な地下水
都市化で減少
 熊本県の地下水の豊富さは全国でもトップレベル。特に、熊本地域(熊本市とその周辺10市町村)の水道水は100%が地下水で、県内全体でも水道水源の8割を地下水で賄っています。しかし、地下水の水位は年々下がっています。県のデータで菊陽町の観測井戸を例に取ると、1982年の水位は29.3メートルでしたが、2009年は23.5メートル。30年近くで5.8メートルも低下しています。
 その原因の一つは“都市化”。市街地が郊外にまで広がって、雨水を地下にしみ込ませる田畑などの「地下水かん養域」が大幅に減少し、コンクリートで舗装された地面が増えました。このため雨が地中にしみ込まず、川や海に流されるようになったのです。県内でも特に熊本地域の地下水位の低下が著しいことから、都市化が原因の一つというのがよく分かるでしょう。
 地下水は無限ではありません。そのため熊本地域では、周辺自治体や企業などが水田に水を張るなどして、地下水を蓄える努力をしています。わたしたち一人一人も、水は必要な分だけ使うという意識を持って行動することが大切ではないでしょうか。

熊本県は湧水源が1000カ所以上あるといわれる水資源の宝庫=Bしかし、この地下水も限りある資源なのです。写真は環境省の「平成の名水百選」に選ばれた嘉島町の六嘉湧水群・浮島(県提供)



一人一人のちょっとした行動
みんなでやれば大きな成果
 では、熊本県民は一体、どれくらいの水を使っているのでしょうか。県水環境課によると、1人1日当たりの上水道給水量は、2007年度で335リットル。2リットルのペットボトル約170本分です。お隣の福岡県は295リットルですので、ちょっと使い過ぎかもしれません。
 そこで大切なのが“節水”。県の「節水マニュアル」によると、平均的な家族1世帯が2日に1度、風呂の残り湯90リットルを洗濯や掃除に再利用すると、1日当たり約45リットル、年間約1万6380リットルの節水に。また、食器洗いを1日に1度のため洗いにすれば、1日当たり約83リットル、年間約3万295リットルの節水につながるそうです。もし、県内の全69万世帯で一斉に取り組んだとすると、節水量は単純計算で、1日当たり約8千832万リットル(県庁舎本館約0.7杯分)にもなります。一人一人のちょっとした行動も、みんなでやれば大きな成果を得られます。
 7〜9月を「節水強化月間」とし、市民に節水を呼び掛けている熊本市では「まず、蛇口の開け閉めを小まめにやるといったできることから始め、台所のため洗い、節水器具の活用と、節水上手になることがポイント」(水保全課)と訴えています。一つ一つの行動が楽しみになれば“節水の上級者”といえるでしょう。





73万人の節水 〜未来へのおもいやり〜
7、8、9月は節水強化月間 ―熊本市
 熊本市は、水の使用量が増える夏の3カ月間(7〜9月)を「節水強化月間」とし、市民に節水を呼び掛けています。本年度のキャッチフレーズは“73万人の節水”。7月は「節水啓発月間」で、市民1人当たりの1日の生活用水使用量を毎日公表しています。“月間”はことしで3回目ですが、基準とする平成14年度実績の254リットルを毎年下回り、成果は徐々に現れています。目標は230リットル。一人でも多くの人が心掛ければ、決して夢ではない数値です。
 8月は「節水器具普及」、9月は「漏水防止」がテーマ。
地下水に関する市民の意識向上を目的にした「くまもと『水』検定」も実施しています。



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 ECO(=エコ)ラム【1】 

くまもとエコモーションキャンペーン
総合コーディネーター

篠原 亮太さん(熊本県立大学環境共生学部教授)
地下水の硝酸化
家畜ふん尿が水質に影響
 口蹄疫(こうていえき)の発生により、畜産業の現状を知る機会が増えています。現在の畜産業は、輸入畜産品に対抗するため、専業化、大規模化が進められています▼人の食する物しか飼料とならない豚は別として、牛や馬などは人が食さない牧草を飼料としていました。しかし、豚を含め家畜業界では、速い成長、肉質の向上、事業の効率化などを目的に、海外から入ってくる高タンパクの人工飼料が使われてきました▼そのため、家畜のふん尿は窒素分が高くなり、これで製造した堆肥(たいひ)は、硝酸性窒素が過剰に含まれます。これを田畑に使うと、土壌のみならず地下水の硝酸化が起き、農作物の硝酸塩濃度も上昇します▼熊本県も例外ではありません。特に、熊本地域の飲料水源が地下水であることを考えると、畜産業の持続可能な振興には、家畜ふん尿の適正な処理や利用が欠かせません。

◇しのはら・りょうた 1973年、北九州市環境衛生研究所入職。99年から現職。「くまもとエコモーションキャンペーン」総合コーディネーター。福岡県出身。
 エコモーション Pick Up vol.2 

便利な節水器具
機器や家電など多数登場

 我慢するばかりが節水ではありません。最近は、手軽に節水できる機器や節水家電が数多く登場しています。「普段通りに生活して、結果的に節水できる」という点が重宝されているようです。
 「節水コマ」は、水の出方を最大で50%調整します。台所や洗面所の蛇口に取り付ければ、4人家族で1カ月約1000リットルを節水できるそうです。また「節水シャワーヘッド」は約20%、洗車に使う「手元制御弁」は20分の洗車で5分止めれば約60リットルの節水が可能。お風呂関係では、水の入れ過ぎを防ぐことができる「風呂ブザー」、残り湯を洗濯などに利用する際の「バスポンプ」が便利です。節水型のトイレ、食器洗い機、ドラム式の洗濯機なども従来型より大量に節水できます。
次回は8月25日(水)に掲載予定


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