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最終更新 2011/12/21

  

 捨てようと思った物を修理して使い続けたり、作り替えてほかの用途で使ったりすれば、余分な物は増えません。また、ある家庭で不要になった物も、捨てずに売りに出せば、誰かが買ってくれるかもしれません。かつては「古くなったら捨て、新しい物に買い替える」という考え方が一般的でしたが、環境負荷を減らすことが課題となっている今、私たちには捨てる習慣の見直しが求められています。“捨てない”暮らしの実践例として、物を作り替える「リメーク」と、繰り返し使う「リユース」にスポットを当て、2人の達人にノウハウを教えてもらいました。
 
 




Remake リメーク(作り替え)   菊池郡菊陽町でハンドメンド工房「ベアーズファミリー」を主宰する内田早苗さん(45)=写真左下=は、古着や使い古しの日用品などを斬新なアイデアで別物に再生させます。今回、誰にでも簡単にできるリメーク品を2つ紹介してもらいました。用意する素材は、リサイクルボックスに投げ込んでしまいがちなペットボトルと布きれ。さて、何ができるかな?

リメーク作品を披露する内田早苗さん。使い古した旅行かばんやブーツ、汚れたTシャツも、劣化部分の処理と内田さんの巧みな絵付けで息を吹き返す





【用意するもの】   
●ペットボトルのふた
●綿 ●牛乳パックの紙片(下敷き用)
●はぎれ2種類(3センチ×15センチと10センチ四方のもの)
●木工用ボンド ●糸


 牛乳パックを下敷きにして、3センチ×15センチのはぎれを置き、ボンドを外側に塗ったふたを布の真ん中に置いて、丸めながら布を周囲に貼る。ふたの内側にもボンドを塗り、はみ出した、はぎれに切り込みを入れて押し込む。
 



 ふたの底の方にはみ出した、はぎれにも切り込みを入れ、ボンドで貼り付ける。さらに、ふたの底にボンドを塗り、別のきれいな布に押し付ける。円形の底の周囲にはみ出した、はぎれをはさみで切り、形を整える。これでペットボトルのふたは完全に、はぎれで覆われる。
 



 綿をひとつまみ丸め、ふたの内側に押し込んで、詰める量を決める。10センチ四方のはぎれに詰める分の綿を置き、膨らんだ綿の外周より1センチ大きい円を、はぎれに描く。円上を糸で串縫いして袋状になったところで、中に綿を押し込む。糸を絞り上げて留める。
 



 ふたの内側と、綿を詰めたはぎれを絞った部分に多めにボンドを塗り、つまようじを使って、ふたの内側にゆっくり押し込み、形を整える。しばらく手で押さえたままにしておくのがポイント。もし、ボンドが布に付着したら、濡れたティッシュですぐに拭き取れば大丈夫。固着すれば針山の完成!
 


【用意するもの】   
●正方形の布2枚
(サイズは34センチ四方程度のものがベスト。
ハンカチやバンダナをそのまま使ってもOK)
●ボタン2個 ●糸


 布の表地同士を貼り合わせ、返し縫いで3辺を縫い、残りの1辺は縫わずに、そのままにしておく。
 



 縫い目のない1辺から貼り合わせた布を裏返して、表地を出す。その際、角の部分がきれいに出るように。押し広げてアイロンや定規で2枚の布がぴったり付くようにならす。残りの1辺をまつり縫いでふさぎ、表地を外側にして縫い合わされた正方形の布にする。
 



 ティッシュ箱を布の対角線上に置き、布の両端を合わせて持ち上げ、ティッシュペーパーの「取り出し口」が見えるように折り曲げる。そのままの状態で、ティッシュペーパーの「取り出し口」の両端を縫い合わせる。その2つの縫い目にボタンが掛かる位置を決め、布の裏側にそれぞれボタンを2個縫い付ける。
 



 あらためて、ティッシュペーパーの取り出し口が見えるようティッシュ箱を装着し直す。横にはみ出した布を内側に押し込んで形を整え、2カ所の縫い目にそれぞれボタンを掛ければ、ティッシュカバーの出来上がり。2枚の布のコントラストが鮮やかになるような色選びがベター。
 




   

 「くまもとECO(エコ)運動市民の会」代表としてフリーマーケットを主催し、普段はリサイクルショップの経営もしている境賢治さん(29)=熊本市=に、フリマに出店する際の注意点や上手な活用の仕方などを聞きました。

 「『いらなくなったら捨てちゃえばいい』なんて考え方は古くさいし、今では非常識。これからの資源循環型社会では、捨てずに繰り返し使う『リユース』が常識となるでしょう」と境さん。極力、ごみを出さない行動が環境負荷の低減につながると訴えます。
 フリマは気軽にリユースに貢献できるイベント。出店すればちょっとした実益が得られ、客として買い物も楽しめます。開催情報は新聞やフリーペーパー、ホームページ・メールマガジンなどから入手できます。 境さんは買い手側へのアドバイスとして、「衣類は常に人気ですが、多く出回る女性物より男性物が希少。じっくり探したいなら、物が豊富な午前中、安く買いたいなら閉店間際がベスト」と教えてくれました。



出店・商品の準備 そろえたい道具


 フリマの出店料はイベントの規模や屋内外などの条件によってさまざまですが、「家族・友人との共同出店で折半するのも一つの方法です」と境さん。「初めて出店する人は“素人感”を隠さず、出したい物を出すのが一番」。ただし、必ず目玉商品を一つ用意し、お客の目を引くことが大切だそうです。「値付けはなるべく安く。購入額を意識せず、売り切りを目標に設定してください」(境さん)。


 まずは区画のサイズ(2.5メートル四方が主流)に合わせたブルーシートを用意。屋外なら、キャンプ用のテントやパラソル、テーブルがあれば、日よけや陳列に便利だそうです。境さんは「値札は分かりやすく付け、値段交渉にも応じましょう」とアドバイス。「商品袋には日ごろの買い物で集めた紙袋を二次利用してください。お釣りで渡す小銭の用意も忘れずに」とも。
 




 ある人には価値がなくなっても、別の人には“掘り出し物”かもしれません。捨てずにリサイクルショップを利用する手もあります。「失敗しないコツは店側の得意、不得意分野を調べ、売り物に応じて店選びをすること」と境さん。「『いらないから』というだけの物品は断られるのが落ちです」。持ち込みの最低条件は商品価値があること。売るときは商品知識を総動員してアピールしましょう。少しは高く売れるかも…。



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エコモーション PICK UP【6】 しのはらセンセイのECO(エコ)コラム【6】
高速道路の横断幕が
トートバッグに変身!


 不要品がリメークによって魅力的なヒット商品に生まれ変わることがあります。首都高速道路株式会社(東京)が昨秋から販売している、使用済み横断幕を再利用したトートバッグもその一つです。
 同社ではドライバーへの工事・通行止め案内や交通マナー啓発などを目的に、高速道路上に横断幕を設置しています。「役目を終えた横断幕は、以前は廃棄処分していましたが、有効活用の手立てはないかという問題意識をきっかけに、リサイクルプロジェクトが始まりました」(同社)
 商品は浜松市に本部を置くスーパープランニング社のトートバッグ専門ブランド「ルートート」と共同で開発。横断幕は風雨にさらされても破れない、軽くて丈夫な素材を使っているので、実用性も抜群。多種多様の横断幕を効率重視でカットして作るため、商品はすべて偶発的な1点もので、横断幕ならではのカラフルな文字がひときわ目を引きます。男性を中心に、幅広い年代層の人気を集めているそうです。
 バッグのサイズは4種類あり、東京・代官山の「ルートートギャラリー」などで販売中。ネット販売も行っています。詳しくは首都高速道路事業開発部事業企画グループTEL03(3539)9226。
「もったいない」の生き方
電化製品には新たな考え必要


 東日本大震災の影響で全国の原子力発電所では厳しい点検が求められているため、各所で稼働停止状態が続き、冬場の電気量が不足することが懸念されます。県立大でも暖房の設定温度を20℃以下にするよう節電要請されています▼節電をすれば、それだけ支払う電気代は安くなり、二酸化炭素(CO)排出などの環境負荷も抑えられます。多くの場合、環境負荷を下げることは利益を生みます。しかし、環境負荷を下げることが利益の発生につながらないこともあります。例えば、旧型の電化製品を省エネタイプの新型に買い替える場合がそれに当たります。10年前に購入したエアコン(6〜9畳用)を現在の新製品に買い替えると約41%の節電になります。またテレビ(32型)だと約67%、冷蔵庫(101〜150リットル)だと約40%となります▼しかし、この節電には新たな支出が伴います。古いモノを長く使う「もったいない」の生き方は、日本の伝統として世界に誇るべきものですが、電化製品については新たな考え方が必要でしょう。

高速道路上に設置されている横断幕(上)と、
リメークされたトートバッグ
(首都高速道路株式会社提供)

くまもとエコモーションキャンペーン 総合コーディネーター

熊本県立大学 環境共生学部教授
篠原 亮太さん



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