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最終更新 2011/11/30

 節電の冬 乗り切ろう!  vol.5 寒さ対策と省エネ

 政府の冬の電力不足対策を受け、九州電力はこのほど、熊本を含む九州7県の企業や家庭に、12月26日から来年2月3日までの平日、電力需要のピーク時間帯に5%以上(前年比)の節電を要請することを決めました。5%削減のためには、各自の小さな心掛けの積み重ねが大切ですが、冬場の電力消費の大きなウエートを占める暖房器具の使い方が、達成の鍵を握っているようです。環境省の「九州環境パートナーシップオフィス(EPO九州)」常勤スタッフの澤克彦さん(35)と林秀美さん(31)に、家庭で取り組める省エネの心掛けや、寒さ対策のアイデアなどについてアドバイスしてもらいました。  





省エネの心掛け  ピーク時の電気使用控え
月単位で5%削減めざして
 


 九州電力が5%以上の節電を求めているのは、午前8時〜午後9時。特に照明や暖房の使用がピークを迎える午前8〜11時と、午後5〜8時の抑制を呼び掛けています。澤さんと林さんは「家族でコミュニケーションを取り、ピーク時に電気使用が集中しないよう、あらかじめ家事の段取りを決めておくのも一考」とアドバイス。「必要のない照明器具やテレビなどのつけっ放し、スイッチの消し忘れなど明らかに無駄と思える部分を省くことを習慣付けてください」とも。
 暖房器具では、エアコン(暖房)やファンヒーターの設定温度を1℃下げる、就寝1時間前に暖房器具のスイッチを消す、家族で同じ部屋で過ごすようにし複数の部屋を暖めない―ことなどを推奨しています。「一部屋に集まれば、家族の団らんにもつながります」と林さん。このほか、主電源を切る、コンセントを抜くなど、家電全般の待機時消費電力をカットするだけでも、効果的な節電につながります。
 「『どの家電をどう省エネすれば、5%削減になる』と特定するのは難しいですが、毎月、電力会社から送られてくる伝票の消費電力量を参考に、月単位で5%削減を目指すのもいいでしょう」と澤さん。「節電に取り組むことは、地球温暖化の要因である二酸化炭素(CO)排出量の削減にもつながるので、進んで実践してほしい」と訴えています。 


省エネ行動と節電・CO2排出削減の試算
   
   






 あったか工夫 暖かく過ごす冬のアイデア
 暖房器具は一般に、設定温度20℃が省エネ対策の目安とされ、経済産業省によると、エアコンの暖房を使用する家庭が設定温度を2℃下げると、電力消費量を7%削減できるそうです。使い方によっては、20℃では暖かくないと感じる場合もありますが、工夫次第で設定温度を上げず、体感温度を高めることができます。
 

「EPO九州」常勤スタッフの澤克彦さん(右)と林秀美さん

暖房器具を効果的に使う― 設備に頼らず暖を取る―


 間仕切りで効率よく暖房
 扇風機活用し熱気を循環

 「大きな部屋を一気に暖めようとすると余計な電力を消費。部屋を区切って、人がいる所を中心に暖めるのが、効果的な省エネ手法です」と澤さん。「リビングと階段がつながっているような場合、扉がない場合などは、のれんやロールカーテンなどで部屋を仕切ると暖気が逃げにくい」とアドバイスします。さらに「窓際に足の長い厚手のカーテンを隙間なく閉め、窓からの冷気をブロックすることも重要」とも。また林さんは「扇風機などを活用し空気を循環させると、部屋の暖かさが均一になりやすい」といいます。フィルターの掃除を小まめにすることでも暖房効率が向上し、節電につながるようです。





 足元暖め、寒さ和らげる

 電気カーペットやこたつなどで足元を暖めると、室内の温度がそう高くなくても、寒さを和らげることが可能です。カーペットの場合、床にじかに敷くと熱が床に逃げて暖房効率が低下。そこで、「カーペットの下に断熱効果のあるシートなどを敷くと、設定温度を上げることなく暖房効果が高まります」と澤さん。また「人が1カ所に集まり、その部分だけを暖めるようにすると節電になります」。一方、電気こたつは、こたつ布団だけでなく、こたつ布団に上掛けと敷き布団を併用すると、低い温度設定でも暖房効果を得ることができ、省電力につながります。


 着衣工夫し冷気の浸入防ぐ

 人は自分の体温が奪われたときに「寒い」と感じるもの。首元や手首、足首などからの冷気の浸入を防ぐことで、体感温度をアップすることができます。林さんは「マフラーやストールのほか、女性の場合はタイツやレギンス、男性は、ズボン下など体にぴったりとしたものを着ることで、冷気の浸入を抑えられます」と推奨。腹巻きをしたり、薄手で保温性の高い下着を着用したりするのも効果的といいます。







 食べ物で体の中から温かく

 体の中から温まるような食材を取ることも、環境に優しく、効果的な寒さ対策といえるかもしれません。「中でもショウガやニンニクには、血行を良くし体を温める成分が含まれています。紅茶などにすり下ろしたショウガを入れたり、普段のメニューに少量加えたりしてみては…」と澤さん。「旬のものである根菜類(ニンジンやゴボウ、イモなど)をシチューやスープ、鍋料理などに入れて食べると、効率よく摂取でき、体の芯から温まりますよ」

 



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エコモーション PICK UP【5】 しのはらセンセイのECO(エコ)コラム【5】
ユニークで高機能
お薦めの防寒インナー&グッズ


 寒さの本格化に合わせ、県内の百貨店でも節電商戦が盛り上がってきました。
 保温性を高めたインナーは、この冬、女性向け商品に注目が集まっているようです。熊本市の鶴屋百貨店が薦めるのは、本館3階婦人肌着売り場で販売中の「ふわふわパンツ」。「毛糸のふわっとした感触が心地よく、色柄のバリエーションも豊富。見た目にも楽しいですよ」と同店。価格は材質などによって3400〜8400円程度。このほか同店は、服の下に着るだけでなく、アウター(上衣)としても着こなせるよう、ファッション性や着用シーンなどを意識した機能性肌着も豊富に取りそろえています。価格は3000〜4000円前後。
 グッズもユニークアイテムが続々登場。県民百貨店(同市)に紹介してもらったのは、ウエットスーツ素材でできた「やわらか湯たんぽ」。ドルフィンやハート、たまごなどのかわいい形状が癒やし効果を高めます。キャップを開け熱湯を注げば、すぐに使用OK。価格は商品によって1680円〜5901円。
 ポーチ型の携帯ブーツ「プードレッグ」(3045円)は室内のレッグウオーマーとして、外出時には防寒ブーツにもなる優れもの。足元からの冷気浸入を抑え、女性を中心に人気上昇中。いずれも6階リビングフロアで販売しています。
太陽の黒点活動
気候変動との関連性も

 太陽から地球に届く光のエネルギーは、1平方メートル当たり100ワットの白熱電球約14個をともす電力に相当すると推計されています。このエネルギーが気流や海流を作り、地球のさまざまな気候を生み出しているのです▼しかし最近、太陽に異変が起きています。太陽の表面に見られる「黒点」が消失し、太陽の輝きが弱まっているのです▼17世紀後半の約70年間、黒点が消え、英国・ロンドン市内を流れるテムズ川が完全に凍りつくほど地球が寒冷化した時期がありました。この現象は、黒点の活動と地球寒冷化の関係を見つけた天文学者の名にちなみ、「マウンダー極小期」と呼ばれています▼一方で、化石燃料の大量消費などに伴い発生する二酸化炭素(CO2)の増加が原因で、地球温暖化が進んでいます。黒点の消失によって、地球寒冷化が再び起きるのか、また地球温暖化にどのように影響するのか、まったく予想がつきません。しかしながら、人類が厳しい気候変動の問題に直面していることは確かです。 

ドルフィンタイプの「やわらか湯たんぽ」(県民百貨店)



豊富な色や柄のバリエーションがそろう
「ふわふわパンツ」(鶴屋百貨店)

くまもとエコモーションキャンペーン 総合コーディネーター

熊本県立大学 環境共生学部教授
篠原 亮太さん



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