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最終更新 2011/09/28

車利用も環境に優しく

vol.3 生活の足を考える
 暮らしに欠かせない交通手段「自動車」。特に熊本のような地方都市では日常の重要な足となっています。一方で、自動車使用に伴う二酸化炭素(CO2)排出や交通渋滞の増加などが懸念されています。国土交通省の統計によると、CO2の年間総排出量の約2割が運輸部門で、うち自動車が約9割を占めています。最近ではハイブリッドカーや電気自動車など環境負荷を抑えた車が登場していますが、できるだけ環境に優しい自動車利用を心掛けたいものです。事業活動での環境に配慮した取り組み例を紹介するとともに、個人でできることをまとめました。    



《《《《《企業の取り組み》》》》》
ハイブリッド車導入
エコドライブの勉強会も 

熊本駅構内タクシー(熊本市) 

 鉄道やバスなどとともに地方公共交通の重要な一翼を担うタクシー事業。環境に配慮した自動車使用の促進は、大きなテーマの一つとなっています。
 熊本市の熊本駅構内タクシー(稲葉伸一郎社長)もハイブリッド車のトヨタ・プリウスを導入し燃料使用量の削減につなげるなど、率先して環境対策を進めています。また同社は2007年、全車両に、急な発進や加減速の回数、アイドリング時間、最高時速、速度オーバー時間などが自動的に記録・評価されるEMS(エコドライブ管理システム)機器を搭載しました。このデータを基に、車両ごとの燃費を順位付けし社員に発表。社内で毎月、エコドライブの勉強会も開いています。EMS導入後は省エネ率の目標3%に対し9%以上の成果を挙げたそうです。
 昨年度からは、交通エコロジー・モビリティ財団(東京)のマニュアルに基づき、エコドライブの実施や点検・整備の徹底など環境に配慮した事業運営も展開。同財団から「グリーン経営認証」を受けました。
 平本國昭・同社統括部長(65)は「お客さまに安全・安心・快適に乗車していただき、満足してもらうのが当社の基本姿勢。身だしなみやマナーが良く、交通ルールを守る意識の高いドライバーが、実はエコドライブでも高い評価を得ています」と話します。
走行状況細かく記録
メンテナンスにも注力


熊本交通運輸(益城町) 

 国内貨物輸送の主力を担うトラック輸送業界でも環境保全への対策が進んでいます。トラックなど約450台(グループ計)を所有する熊本交通運輸(益城町、住永金司社長)も環境対策に積極的に取り組んでいます。低排ガス・低燃費車の導入を進めているほか、同業者との共同配送による物流効率化を図り、トラックの総台数を減らすことで、CO排出削減や省エネなどに努めています。
 運転手のエコドライブ意識の向上にも力を注ぐ同社。主に長距離用トラックに「デジタル・タコグラフ」と呼ばれる測定機器を搭載し、急発進や急ブレーキ、アイドリング時間などの走行状況を毎日細かく記録。運転手のエコドライブの実践度合いをA〜Eの5段階で評価しています。「最初は評価が低かったドライバーも、分析に基づく指導を行うことで改善。一度技術を身に付ければ、デジタコがないトラックでもエコドライブを当たり前にできるようになります。おかげで、装着前に比べて燃料を1割ほど節約することができました」と住永社長(64)。
 エコドライブを実践するには、日ごろのメンテナンスも不可欠といいます。同社では、運転中に一つでも不具合が見つかれば、運転手が帰社後、日報で報告。翌日の運転に支障が出ないよう、自社のメカニックが24時間体制で修理・整備に当たっています。
   


イメージ

私たちにできることは---
  エコドライブを心掛けたり、公共交通機関を利用したりすることは、環境保全への貢献につながります。エコドライブの基本ポイントや、マイカーと公共交通を併用するパークアンドライドについて紹介します。

エコドライブの基本ポイント パークアンドライドを利用しよう!!
(監修/JAF熊本支部)

 【1】発進時 ひと呼吸置いてゆっくり
 発進時には、最も多くの燃料を消費するそうです。ブレーキから足を離し、ひと呼吸置いて車が少し動き出してから、ゆっくりアクセルを踏み込むのがポイント。交通状況を読み、加速しすぎないよう注意しましょう。 
 【2】巡航時 速度変動の少ない運転を
  加減速を繰り返す運転も燃料を多く消費します。加減速を抑えるには先の交通状況や道路状況を把握し、早めに対処することが大切。また車間距離をしっかり保てば、前の車に合わせた加減速を減らすことができます。
 【3】減速時 早めにアクセルオフ
  無意識に行っている減速ですが、アクセルをオフにすると燃料の消費がぐんと抑えられます。先の交通状況に気を配り、赤(黄)信号などで停止することが分かったら、早めのアクセルオフを心掛けましょう。
 【4】停止時 アイドリングストップを
  自動車は停止中でもエンジンがかかっていれば燃料を消費します。1分間のアイドリングで約28t、10分間だと約300tの燃料を使うそうです。停止時はできるだけエンジンを止めるよう努めたいものです。

 環境に配慮した自動車利用の一つの方法として、マイカーを駅やバス停近くの駐車場などにとめ、公共交通に乗り換えて目的地に向かうパークアンドライドが推奨されています。上手に利用すると、移動がスムーズになるだけでなく、渋滞緩和やCO2排出量の低減などに効果があるとされています。パークアンドライドは1つではなく、次のような方法があります。

パークアンドレールライド
駅までマイカーで行き、鉄道に乗り換える。 
 
パークアンドバスライド 
バス停までマイカーで行き、バスに乗り換える。
パークアンドサイクルライド
マイカーから、自転車に乗り換える。 
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キスアンドライド
駅やバス停まで送迎してもらい、鉄道やバスに乗る。 
サイクルアンドライド 
駅やバス停まで自転車で行き、鉄道やバスに乗り換える。
 

熊本都市圏パークアンドライド
  県は、熊本都市圏の交通渋滞緩和や地球温暖化防止対策の一環として、パークアンドライドを推進。現在、県内9カ所の駐車場(下記参照)を紹介しており、多くの利用を呼び掛けています。バス・鉄道の定期券購入者などを対象に、駐車料金割引などの特典が受けられます。詳細情報は県のホームページで公開(「熊本県 パークアンドライド」で検索)。問い合わせは県都市計画課 Tel 096(333)2521または交通政策課Tel 096(333)2164。
実施駐車場 (2011年9月現在)
熊本電鉄…北熊本駅(熊本市)、御代志駅、黒石駅、新須屋駅(いずれも合志市)
熊本電鉄バス…辻久保バス停(合志市)
熊本バス…中の瀬車庫(熊本市)
九州産交バス…西部車庫(熊本市)
大型店舗…ゆめタウン光の森(菊陽町)
イオンモール熊本クレア(嘉島町)



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エコモーション PICK UP【3】 しのはらセンセイのECO(エコ)コラム【3】
会員間で車を共同利用
カーシェアリング


 マイカーを持たない人が多い首都圏を中心に、複数の会員で自動車を共同利用するカーシェアリングの需要が高まっています。車を共同で使うことで総台数が減り、交通渋滞の緩和やCO2削減などにつながることが期待されています。
 利用には事前の登録手続きが必要で、会員がICカードを持ち、カードを使って本人認証を行うのが一般的です。利用時は、カーシェアリング提供会社(団体)の専用サイトなどで希望車種や使いたい日時を予約、予約車が置かれている専用駐車場に行き、その車の読み取り機にICカードをかざすとドアロックが解除され、乗車が可能になります。費用は入会金と月額基本料のほか、車種や時間、走行距離などによって料金が加算されます。
 蔦屋書店や「TSUTAYA AVクラブ」などを展開するニューコ・ワン(熊本市、村井眞一社長)は昨年11月、県内でいち早くカーシェアリングサービスを開始。現在、熊本市内19カ所に専用駐車場を設けており、30分以上15分単位で、短時間の利用ができるのが特徴です。国産のコンパクトカーから高級輸入車まで多彩にそろえ、会員のニーズに応えています。
フードマイレージの削減
適地適作踏まえた地産地消を


 農業振興の意味から、地産地消という言葉が使われていますが、輸送のエネルギー負荷を考えると、生産地と消費地は近いことが望まれます▼地産地消を定量的に表現したのがフードマイレージで、食料の輸送量に輸送距離を掛け合わせた数値で表されます。食料の輸入に伴うフードマイレージは、遠くの国から輸入した食料の量が多いほど値が高くなり、食料輸送に伴い排出されるCO2が地球温暖化に与える影響を知ることができます。農林水産省の2001年の試算によると、人口1人当たりのフードマイレージ(単位:トン キロメートル/人)は、日本7093、韓国6637、ドイツ2090、米国1051。中でも日本は食料を海外に頼っている国です▼しかし、フードマイレージは輸送手段による燃費の差を考慮していません。つまり空輸と船便とでは、フードマイレージ値が同じでも、明らかに空輸の方が輸送エネルギー量は増します。また露地栽培とハウス栽培では総エネルギー消費量に差が出ます。フードマイレージを小さくするには適地適作を踏まえた地産地消が必要なのです。

多彩な車種がそろうニューコ・ワンの
菅原町カスタマーセンター&ステーション=熊本市菅原町

くまもとエコモーションキャンペーン 総合コーディネーター

熊本県立大学 環境共生学部教授
篠原 亮太さん



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