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最終更新 2011/07/27




 東日本大震災の影響による電力供給不足が心配される中、この夏は、家庭にも一層の節電が求められています。わが国では、エアコン、冷蔵庫、照明器具、テレビの4家電が、年間の家庭消費電力の約7割を占めており(左上の円グラフ参照)、これらの使い方が、省エネの鍵となりそうです。また節電することは、発電に伴う二酸化炭素(CO2)排出量の削減にもつながります。熊本市で建築設計事務所を営み、環境に優しい暮らしを提案している矢野雅三さん(52)=右写真=に、4家電を中心に、節電のためにできる、ちょっとした工夫などを紹介してもらいました。






 省エネの目安としてエアコンの冷房は、設定温度28℃が推奨されています。また温度設定を1℃上げると、消費電力を1割減らせるといわれます。28℃設定では少し暑いと感じることもありますが、「家回りなどを工夫し、自然の風を上手に取り入れることで、快適さを十分保てる」と矢野さんは言います。


 直射日光を遮ることは室内の暑さを抑える重要ポイントの一つ。つる状に成長する植物を窓際の日よけにする「緑のカーテン」に関心が高まっていますが、矢野さんの事務所では、ゴーヤーとアサガオを栽培中です。「カーテンの内と外では気温が2、3℃は違う。見た目の涼しさも効果的」と矢野さん。「小窓の西日よけにはキュウリやトマトが、収穫の喜びも味わえ楽しいですよ」。栽培が面倒という人は、すだれやよしずのほか、農作物などの日よけに使う寒冷紗が手っ取り早く、安価で設置できるそうです。
 打ち水は江戸時代から続く庶民の知恵。道に水をまくことで気化熱を奪い、周囲の暑さを和らげる効果があるといいます。矢野さんは「日が照っている時だと、すぐに水が蒸発してしまうので、日が沈みかけたころにやるのが有効。風の涼しさが増し、夜の寝苦しさも緩和される」と薦めます。また、冷房運転中のエアコンの室外機周りに散水すると、打ち水と同じ効果で、冷房効率が一段と高まるそうです。
 扇風機を併用する方法は盛んに紹介されていますが、ひと工夫で効果はさらに向上。「人に直接当てるのではなく、壁に向け、四方を伝わせるように風を送ると、部屋の温度が均一になりやすい」と矢野さん。

・・・ そのほか、エアコンの節電対策 ・・・
フィルターの掃除で冷房効率が向上。
2週間に1度は手入れを。
冷房は風向きを水平または上向きにすると、
冷却効果アップが期待できます。



 冷蔵庫は24時間稼働し続ける家電製品のため、消費電力を減らす毎日のちょっとした工夫や配慮が、大きな省エネにつながるようです。

 冷蔵庫の消費電力量は、庫内の食品の詰め方によっても左右されるといいます。冷蔵庫は冷気の流れを確保するため、物を詰めすぎないことが大切。反対に冷凍庫は、すき間がないように詰め込んだ方が、物同士が互いに冷やし合い、省電力につながるそうです。

 「意外と実践している人が少ない」と矢野さんが指摘するのが、本体下にある冷気の吸い込み口の掃除。ほこりなどのごみがたまると熱効率が下がり、エネルギー浪費のもとに。「年1、2回程度、掃除機などで吸い取ってください」(矢野さん)。

 最近の冷蔵庫は、放熱板が本体の側面にある場合が多いため、壁などに付けて設置すると放熱が妨げられ、余計な電力を消費してしまうそうです。「こぶし1個分を目安に、左右に十分な間隔を設けてください。熱がこもりやすい背面も、なるべく開けたほうがよい」と矢野さん。側面に磁石などで紙をたくさん貼り付けるのも放熱の妨げになり、よくないそうです。



 照明器具とテレビは小まめな電源オフが節電の基本。省エネ製品への切り替えや、待機電力を減らすことでも効果的な節電につながるようです。

 “使わないときは消す”が必須ですが、「LED照明に切り替えるのが最も有効な節電」と矢野さん。「これから家を建てようという方は、天窓の設置も検討してはいかがでしょう。昼間は照明いらずで、電力消費を大幅に節約できます」。
 映像を見る際、画面の明るさと音量を上げすぎないことが大切。矢野さんは「部屋の照明を若干落とし、テレビの画面も暗めに調整することで、映像の見え方を犠牲にせず効果的な節電になる」とアドバイス。待機電力の削減にはコンセントを抜くのが一般的ですが、本体の主電源を切ることでも同じ効果を得られるそうです。





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冷房設定温度28℃で、
利用を1日1時間減らした場合、
年間で
電力量18.78kw時、
原油換算で4.73リットル、
CO2は7.9sの削減

蛍光ランプ(4.38w)1灯の点灯を
1日1時間減らした場合、
年間で
電力量4.38kw時、
原油換算で1.10リットル、
CO2は1.8sの削減

液晶テレビ(20インチ)を
見る時間を1日1時間減らした場合、
年間で
電力量15.00kw時、
原油換算で3.78リットル、
CO2は6.3sの削減
(資料提供/環境省九州地方環境事務所)



エコモーション PICK UP【1】 しのはらセンセイのECO(エコ)コラム【1】
卓上扇風機、ミストファン…
お薦めの「涼感グッズ」


 節電意識が高まる中、できるだけ冷房に頼らず、暑い夏を乗り切るための「涼感グッズ」に注目が集まっています。熊本市のホームセンターサンコー本山店に、オフィスや家庭などで手軽に使える、同店お薦めのグッズを紹介してもらいました。
 変わり種は、金属面があればどこにでもくっ付くマグネット式の卓上扇風機(同店販売価格1980円)。「デスクの引き出しやキッチンなど置き場所を選びません。予想以上の売れ行きです」と同店。アウトドアに便利な充電式や、パソコンのUSB端子につないで使用するタイプもあります。
 同店が今年初めて入荷したというミストファン(同378円)は単3乾電池2本で使用でき、扇風機を回しながらミスト(霧)をひと吹きすれば、水の気化熱作用でさらに涼しくなるという優れもの。首から提げられる手軽さがウケています。
 このほか、水を使わず常温で使えるジェルタイプのアイマスクや、衣類にスプレーするだけで暑さを和らげ、清涼感を保つという冷感触持続スプレーなどが売れ行きを伸ばしているそうです。
再生可能エネルギーの普及
ライフスタイル見直しが必須


 わが国が他国から一切のエネルギーを購入せず、自国のエネルギーだけで養っていける人口の限界は3000万人といわれています。江戸時代の人口がまさにそのくらいでした。言い換えれば、クーラーも冷蔵庫もない江戸時代の生活レベルでも、海外からエネルギーを調達しなければ、3000万人しか住めないのです。現在、1億2000万人の快適で衛生的な生活を維持するため、石油だけでも、ドラム缶約11億本相当(年間)を輸入しています▼CO2の発生が少ないといわれてきた原子力発電は日本の総発電量の約30%を担っていますが、事故が起きた場合、大変危険だということを東日本大震災に教えられました。石油や天然ガスは近い将来、資源が枯渇し輸入できなくなるでしょう▼太陽の光や、その太陽に大きく関係している風や波のエネルギー、動植物(バイオマス)をエネルギー源とすべき時代が来ています。しかし、こうした再生可能なエネルギーを受け入れるには、私たち一人一人がライフスタイルを見直し、省エネに努めることが必須条件となります。

卓上扇風機

ミストファン

くまもとエコモーションキャンペーン 総合コーディネーター

熊本県立大学 環境共生学部教授
篠原 亮太さん

次回は8月31日(水)に掲載予定

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