【提唱】熊本日日新聞社【特別協力】熊本県、熊本市、環境省九州地方環境事務所、国土交通省九州地方整備局熊本河川国道事務所 【企画・制作】熊本日日新聞社 業務推進局
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▲湖面の下では何が起きているのだろうか…


 境省が選定する「日本の重要湿地500」の一つにもなっている熊本市の江津湖。豊富な湧水と、そこで育まれた多様な生き物たちが作り出す豊かな生態系があります。しかし近年、オオクチバスやティラピアなどの外来魚が増加し、在来種を食べたり、生息域をおびやかすことが問題に。対策の一環として今年4月から始まったのが、「江津湖地域での指定外来魚の再放流(リリース)禁止」。そこでエコ通スタッフも、さっそく江津湖に釣りに、いや、実態調査≠ノ繰り出しました!


江津湖の在来種たちを食べ、すみかを奪う…。
「指定外来魚」って、どんなヤツらだ!?

 ある日曜日。仕事に燃えるエコ通スタッフは江津湖に釣り、いや、実態調査にやって来た。
 と、妙に肩に力の入った書き出しですが、決して、家に居づらいオッサンたちがただ遊んでいたわけではありません。
 近年、江津湖地域で問題になっているオオクチバス(ブラックバス)など外来魚の多くは、在来種に比べてサイズが大きく引きも強いので、疑似餌を使って釣るルアーフィッシングの格好の対象です。

▲回収された指定外来魚たち。中には係員も驚く大物≠


“人間の都合”で
持ち込まれた外来魚たち

 ルアーフィッシングでは、釣り上げた魚を元の場所に再放流する「キャッチ・アンド・リリース」がマナー。しかし熊本市は、江津湖で固有の在来種が減少している現状を踏まえ、貴重な生態系を守るために「指定外来魚」の放流・再放流を禁じる条例を施行しました。
 とはいえ外来魚たちも、元はゲームフィッシングの対象や食用魚などとして、人間の手で持ち込まれたもの。「あたたちん都合で逃がすの、逃がさんのて言われても困るバイ!」と、彼らのボヤきが聞こえてきそうです。

生態系維持のためも
愛好家からは反対の声…

 さて、「外来魚がどんなもんか、いっちょ釣ったろか」と鼻息荒く江津湖に到着したエコ通スタッフ。いよいよ釣り開始!
 がしかし、ルアー釣り初心者に、そう簡単にアタリがくるはずもない。むなしく時間だけが過ぎ、オッサンたちは疲労困憊(こんぱい)…。結局、釣果はゼロで、とぼとぼと家路に着こうとしたその時だった。江津湖一帯に設置された指定外来魚の回収箱や回収いけすを巡回する係員に遭遇! 体長30センチ超のブラックバスや重さ約3・5キロの特大ナイルティラピアなど、10数匹が回収されていました。係員によれば、「週末は回収する数も多い」のだとか。
 人間の手で持ち込まれた外来魚たちに罪はありませんが、本来の生態系を維持するための指定外来魚の再放流禁止。一方で、ブラックバス釣り愛好家の間からは、「駆除を目的に釣るのはおかしい」と反対の声が根強いのも事実です。“熊本市民のオアシス”江津湖の水面下で繰り広げられる生存競争の行方やいかに…。



熊本市立熊本博物館
学芸員(動物担当)
 清水 稔さん
「江津湖固有の生態系を守るため」
 江津湖は、豊富な湧水によって通年で水温が安定しているので、冬でもエサとなる生物(小魚やエビなど)の隠れ場になる水草があり、外来魚にとってもすみやすい環境です。また指定外来魚の中には、卵や子魚を親が守る習性を持つものもいて、在来種に比べ生き残りやすいのが特徴です。
 動物である限りは食べ物やすむ場所が必要なので、外来魚が増え過ぎると元々江津湖にいるべき生物の数が減り、長い年月をかけて育まれてきた固有の生態系が損なわれてしまいます。一度失われた種は取り戻せません。さらに、外来生物が持つ未知の病気や寄生虫が影響を及ぼす可能性もあります。




キング・オブ・外来魚
オオクチバス
(ブラックバス)
好奇心旺盛で動くものは何でも食べる。とても目が良く、網などを仕掛けても、かかりにくい。全長30〜50p

何でも食べる生命力
ブルーギル
雑食で他の魚の卵や稚魚、エビなどはもちろん、死骸や藻類まで何でも食べる。近年、江津湖では減少か。全長25p前後

アフリカから連れられて…
ナイルティラピア
アフリカ原産。水中に漂うデトリタス(生物の死骸や排泄物などの分解産物)を主なエサにし、メスは口の中で子育てをする。全長約50p

ただ今急増中
ジルティラピア
ナイルティラピアと同じくアフリカ原産で、食性も似ている。江津湖では、ここ10年ほどで急激に増えている。全長約35p

メダカ? じゃないのヨ
カダヤシ
見た目もすみかもメダカと似ている。メダカより繁殖力が強く、幼魚を食べてしまうため、メダカにとって天敵。全長3〜5p

大型の上位捕食者
カムルチー
1mにも達するものもいる大型の肉食魚。魚類だけでなく、水鳥を襲うこともある。



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今月のお題 熊本県で確認されている主な特定外来生物(一部抜粋)




固有の生態系をおびやかす外来生物を広げないために
定外来生物」とは、外来生物の中で特に生態系や人間の生活に大きな影響を与える、またはその恐れがあると国が指定した生物のこと。江津湖の指定外来魚以外にも、熊本ではこれだけ多くの特定外来生物が確認されていて、中にはアライグマまで !
 外来生物が引き起こす問題は、その生物が定着してしまった後に明らかになることもあり、解決には多大な時間と労力、そして費用もかかります。そうなる前に、外来生物を「(日本に)入れない」「(飼っている外来生物を)捨てない」「(他の地域に)広げない」という3つの原則を守ることが大切です。




「エコワい話」も、まだまだ募集中!
Facebookページでは、エコ通スタッフの世間話≠燗W開中!

エコワい話
が家の、かつて「エコワかった話」です。わが家ではエコ活動の一環で、風呂の残り湯を洗濯や植栽・花壇の水まきなどに使っています。しかし、以前は屋外の水道を出しっぱなしにして水まきをしていたので、今の倍近い水道料金がかかっていました。個々ができる小さな活動が、大きな結果につながる時代ですね。(菊池市/健康第一さん
―流行語にもなった「小さなことからコツコツと」ではありませんが、「自分一人が何かしたぐらいで」と思わず、身近なことから始めるのが大事ですね!
エコワい話
湯を沸かすときは、やかんに水を入れ日当たりの良いところで少し水を温めてから火にかけたり、煮物はある程度火が通ったら、あとは余熱で調理したりしています。冷蔵庫のドアの開閉も、開ける前に「出す物」をイメージしてから、まとめて取り出せば電気代の節約になりますよ。(熊本市/エコエコ大好きさん)
―お見事! 小さいながら徹底した取り組みに頭が下がります。きっと慣れれば、「次は何をしよう」と楽しみになるんでしょうね。

 今月の「エコワい話」は、いかがでしたか? きっと皆さんの周りにも省エネ&エコの失敗談が転がっているはず!? ぜひ、「これは」という話をお寄せください。ホームページ、Facebookでも情報を発信中。皆さんからの投稿や紙面の感想も随時お待ちしています!

応募は、「氏名(ペンネーム)、住所、電話番号」を明記の上、はがき・封書、FAX、メールで、熊本日日新聞社業務推進局「エコワい話」係まで。

 はがき封書
 〒860‐8506(宛先住所は不要)
 熊本日日新聞社業務推進局
 「エコワい話」係
 FAX
 096‐372‐8711
 メール
 eco@kumanichi.co.jp
 ※件名に「エコワい話」とお書きください

※投稿内容は、当キャンペーンのFacebookでも紹介する場合があります。※ご応募の際にいただいた個人情報は、投稿内容の確認や取材のための連絡、採用謝礼の発送のみに使用させていただきます。
エピソードを紙面で採用させていただいた方には2000円分のQUO(クオ)カードを進呈します!

次回は11月25日(水)に掲載予定です。お楽しみに!



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