日本製紙株式会社八代工場

安定操業維持し、収益で全社に貢献

─紙パルプ業界を取り巻く環境はどうですか。

井上 国内の紙の需要はIT化で10年ほど前から徐々に落ち、昨年からはコロナ対策のテレワーク浸透が大きく影響しています。紙全体では上期(4~9月)が前期比で約20%低下しました。内訳は印刷・情報用紙が25.3%減、新聞用紙が15.5%減、段ボールなどの板紙が約7%減で、コロナ初期の買いだめで一時期は伸びたティッシュなどの衛生用紙もインバウンド激減などでマイナスに転じました。徐々に回復しているものの、コロナ禍で紙需要の減少幅が3~4年分ほど加速した感は否めません。

─日本製紙全社ではどのような状況ですか。

井上 当社も同じ状況で国内の需要減に伴い生産体制を見直しており、昨秋に発表した釧路工場(北海道)が紙生産を終了するのはその一環です。並行して、紙の中でも成長が期待されるパッケージング分野に人、物、金の資源をシフトしています。既にストローなどでは紙化が進み、包装容器も一部が紙に戻りました。世の流れは〝脱プラスチック〟。当社も〝紙でできることは紙で〟と掲げ、商品開発に取り組んでいます。さらに、バイオケミカル事業やバイオマス発電事業などを手掛ける総合バイオマス企業への構造転換も着々と進めています。

執行役員 工場長 井上 茂氏

─厳しさが増していますが、八代工場の現状は。

井上 今夏の釧路工場の紙生産終了に伴い、新聞用紙の生産をカバーするのは八代工場と岩沼工場(宮城県)です。特に八代工場の持ち味はコスト競争力の高さ。原材料の木材と古紙はいずれも九州域内で集めることができ、発電用のエネルギー構成は木材から繊維を取り出す過程で発生する黒液、石炭となっており、バランスが取れています。立地面でも海運、陸運に恵まれているのが強み。競争力を保ちながら他工場からのシフト分もしっかり生産し、収益面で全社を支えることが当工場の役割です。また、環境保全や安全・安定操業にも注力しています。水質、大気、騒音などの基準値はクリアしていますが、常に改善を怠らず、できることをやっていきたいですね。設備投資については老朽化した回収ボイラーを更新したいと考えています。

─2021年の抱負をお聞かせください。

井上 八代工場には操業面、品質面での安定性がより一層求められます。そのために今何をなすべきかを工場スタッフにピックアップしてもらっているところです。解決すべき課題や不安要素をきめ細かく洗い出し、今ある設備に改善や改良を重ねていくことで安定操業を維持していきたいと思います。

大正14年建築の工場倶楽部

概要

本社所在地 〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台4-6(御茶ノ水ソラシティ)
【電話】03(6665)1111
八代工場 〒866-8602 八代市十条町1-1
【電話】0965(33)2111
工場設立 大正13年10月15日
事業内容設立 紙パルプ製造業
資本金 1,048億7,300万円(令和2年10月1日現在)
従業員数 全社/5,411人(令和2年10月1日現在)
八代工場/406人(令和2年10月1日現在)

熊本日日新聞社

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