KMバイオロジクス株式会社

新型コロナワクチン開発を加速化

─昨年の企業概況を教えてください。

永里 社会からの信頼回復に向け、従業員一人一人が命に関わる製品を作るという自覚を持って安定生産体制の構築に努めました。その結果、生産効率が高まり、昨年上半期は、売り上げは前年比約9%増、営業利益は約320%増でした。コロナ禍の影響については、昨年4、5月に小児用定期ワクチンの接種率が落ちましたが、今では平年並みに戻っています。インフルエンザワクチンは、国からの増産要請もあって2月から生産に入り、11月までに全て出荷しました。生産量は前年比約20%増で、旧化血研時代も含めて最も多い生産量となりました。また、新生児スクリーニングセンターの新棟が完成し、12月から稼働しています。赤ちゃんが先天性の病気を持っている可能性がないかを調べる施設で、遺伝子関連検査用の設備も新たに導入しました。弊社では熊本と福岡、佐賀3県で生まれた赤ちゃん全員の検査を担っており、検査項目の拡充に努めています。今後も、赤ちゃんの先天性の病気の早期発見、早期治療につなげていきます。

代表取締役社長 永里 敏秋氏

─新型コロナワクチンの開発に取り組まれています。

永里 世界的に見ると、新型コロナウイルスの一部の遺伝子を体内に注射する「核酸ワクチン」の開発が広く行われていますが、弊社では、ウイルスの感染力や毒性をなくした「不活化ワクチン」の開発に取り組んでいます。核酸ワクチンは早く開発できるという利点があり、早期に供与されることはいいことだと思いますが、私たちは安全性と安定供給の観点から、従来からある不活化ワクチンが優れていると信じています。弊社の開発状況については、今年度中に臨床試験(治験)を始め、2021年度中に生産設備を整備、23年度中には国民に届けたいと思っています。海外からの輸入に頼らず、必要量を長期にわたって確保するためには、国内生産が重要だと考えています。一方、これとは別に、海外他社で開発されたワクチンが日本へ導入される場合、国内供給に向け受託生産を行うことも検討しています。

─今後の抱負をお願いします。

永里 弊社では、企業としてあるべき姿をまとめた「2026ビジョン」を策定し、昨年10月に従業員に発表しました。現在、今後3カ年の中期経営計画を作成中です。感染症領域の事業をアジア向けに拡大し、デング熱や日本脳炎などのヒト用ワクチン、動物用ワクチンの海外輸出や技術導出を展開していきたいですね。

2017年に竣工した合志事業所

概要

所在地 〒860-8568 熊本市北区大窪1丁目6-1
【電話】096(344)1211
事業内容 ヒト用ワクチン、動物用ワクチン、血漿分画製剤の研究・開発・製造・供給、新生児マススクリーニング
設立 平成30年3月7日
資本金 100億円
役員 代表取締役会長/松尾正彦
代表取締役社長/永里敏秋
取締役/佐々木優慈、塩﨑浩一郎、中山峰男、本松 賢、西川正明
監査役/松住峰夫、富田正夫
従業員数 1,957人(2020年10月現在)
事業所 本社/熊本事業所、菊池研究所、合志事業所、阿蘇事業所、新生児スクリーニングセンター、配送センター、東京営業所
ホームページ https://www.kmbiologics.com/

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