日本製紙株式会社八代工場

堅実な安定操業で収益確保目指す

─紙パルプ業界を取り巻く現況はいかがですか。

島田 ペーパーレスの進展で新聞や雑誌、チラシなどの情報を伝達することに使われる用紙は需要がかなり落ち込み、先が見通せない状態です。段ボールなどのパッケージ用紙はネット通販の拡大で昨年の半ばまでは好調でしたが、米中経済摩擦の影響から世界レベルでモノの動きが悪くなり、国内では天候不順で野菜や米の流通が停滞した結果、後半はマイナスに転じました。一方、海洋プラスチック問題で〝脱プラスチック〟を志向して紙を使う企業が増えつつあるのは追い風で、これをいかに取り込むかが業界の課題です。

─日本製紙全社ではどのような状況ですか。

島田 2年前は原燃料価格の上昇、特に古紙の高騰が収益を圧迫していましたが、昨年やっと安定して入手できるようになりました。下落していた紙の価格も上昇し、既存事業の収益は上向いています。新規事業では昨年10月、パッケージ分野でオーストラリア企業の大型買収が決まり、収益面での相乗効果が期待されます。このほか、ヘルスケア分野ではインバウンド効果や高齢化の進展で需要が増え、富士工場に家庭紙の抄紙機を増設することが決まりました。新エネルギー分野では設備が安定的に稼働しています。ケミカル分野は用途開発から一歩進んで実用化段階を迎えつつあり、新素材「セルロースナノファイバー」がタイヤや食品などに使用されるなどの例もあります。

執行役員 工場長 島田 和人氏

─そうした中、八代工場の現状はいかがですか。

島田 稼働率はほぼ昨年並みを維持しています。安定操業を続けると、操業停止に伴うロスがないことからコストアップ要因が減るので、長い目で見ればコスト削減につながります。実際、昨年上期までは大きなトラブルがなく操業を続けられたので、利益のかさ上げができました。次の第7次中期経営計画に向けての目標はインフラ整備。エネルギー効率を高められる回収ボイラーへの設備投資を考えており、そのための働きかけや準備をしています。

─今年の抱負をお聞かせください。

島田 まずは完全無災害です。昨年1月に休業災害が1件発生しましたが、以降は無災害が続いていますので、維持したいと思います。また、八代工場の大きな役割は収益面で日本製紙全社を支えることなので、これも継続していきたいですね。そして、地域に根差すという面では、環境に配慮した工場運営を実践しています。排水設備などにはかなり費用を投じていますが、さらなる増強を考えています。

八代妙見祭PR看板が設置されたボイラー棟

概要

本社所在地 〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台4-6(御茶ノ水ソラシティ)
【電話】03(6665)1111
八代工場 〒866-8602 八代市十条町1-1
【電話】0965(33)2111
工場設立 大正13年10月15日
事業内容 紙パルプ製造業
資本金 1,048億7,300万円
(令和元年10月1日現在)
従業員数 全社/5,578人(令和元年10月1日現在)
八代工場/382人(令和元年10月1日現在)

熊本日日新聞社

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