【提唱】熊本日日新聞社【特別協力】熊本県、熊本市、環境省九州地方環境事務所、国土交通省九州地方整備局熊本河川国道事務所 【企画・制作】熊本日日新聞社 業務推進局
くまもとエコモーションキャンペーン くまにちコム facebook ECO動(do!)










 石油など地中から産出する化石燃料は、資源の量に限りがあるだけでなく、地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO)を大気中に大量に排出します。そのため近年、それに代わる次世代のエネルギーの研究・開発が盛んに行われています。実は県内でも、天草市の山あいにある廃校跡を利用し、生物体(バイオマス)を使ったエネルギーの研究が進行中。そこでは日々、「藻」の培養が行われています。





廃校の運動場に作った3つの水槽で藻を培養



▲かつての運動場に作られた長さ80メートルの水槽。
水車を回して流れを作ることで藻が沈まないようにしている
 人の気配もなく、静まり返った廃校の運動場に並ぶ、細長い巨大な3つの水槽。そこには緑色の水がゆっくりと流れています。この奇妙な施設は、天草市五和町の旧五和西中学校の跡地に、大手自動車部品メーカーのデンソー(本社愛知県)がつくった天草事業所。ディーゼルエンジンに使うバイオ燃料の研究を行うため、今年7月に開所しました。
 水槽の水の緑色の正体は藻。アオノリの仲間で、シュードコリシスチス(以下、シュード)という種類です。「単細胞で、二酸化炭素(CO)と光をもとに光合成を行い、8時間に1度、細胞分裂して増殖します」と説明する同社新事業推進部の渥美欣也さん。シュードは、同社が国内の温泉地で発見し、特許を取得しています。
 天草が研究施設の設置場所に選ばれたのは、廃校のグラウンドに水槽などの設置に必要な広さが確保できるため。それに加え、シュードの増殖に適した温暖な気候と日当たりの良さ、豊富な地下水などの条件がそろっていたからです。

▲天草の施設で藻から取り出されるバイオ燃料は現在、月に約100リットル

多くのメリット 課題は生産コスト

 シュードは、栄養を与えないようにすると、体内の糖やタンパク質を油に変える性質を持ち、油の割合は体重の30%近くになります。
 現在、天草事業所で行われているのは、シュードの培養と、それを乾燥させて油を取り出す研究。施設内にある長さ20メートル、40メートル、80メートルの3つの水槽で、それぞれ5日〜10日かけて培養し、小さい方から順に大きい水槽へ移していきます。
 同社がシュードに着目したのは、油を作る能力に優れているという点以外にも、「育てやすく増えやすい」「油を絞ったあとのかすを肥料や家畜・魚のエサに活用できる」などのメリットがあるからです。
 さらに、「光合成によってCOを吸収して油を作り出すので、油を燃やしても大気中のCOがトータルで増えることはありません」と渥美さんは話します。バイオ燃料の中にはトウモロコシやパームヤシなどの食料を原料にしているものがありますが、利用価値が上がると価格が高騰する懸念もあります。しかし、「藻は食料ではないので価格上昇の心配もなく、培養を続ければ原料が枯渇することもありません」。
 多くのメリットを持つシュードが作り出す油への期待は膨らみます。ただ、実用化に向けては生産効率の向上などでコストを下げたり、生産量を増やす必要があり、まだまだ超えなければならないハードルは少なくありません。


▲大きさ5マイクロメートルという小さな藻「シュードコリシスチス」
(写真=デンソー提供)

▲丸く光って見える部分が、シュードが作り出した油
(写真=デンソー提供)


■シュードと他の微細藻の培養速度の比較


次世代エネルギーが天草の産業創出にも

 車をはじめ、さまざまな機関を動かす燃料として使われるだけでなく、多くの工業製品・日用品の原料としても多用されている石油。しかし、石油や石炭などの化石燃料は、いずれも限りある資源で、いつかは枯渇してしまいます。
 さらに、燃やすことで地球温暖化の原因となるCOを大量に排出することも、大きな問題です。その課題を解決するために、風力や水力を利用した自然エネルギーのほか、トウモロコシやサトウキビなどを発酵・ろ過させたバイオ燃料がすでに実用化され、化石燃料に代わる次世代エネルギーとして注目されています。
 天草事業所で進む、油を作り出す藻の研究には、地元も新たな産業の創出につながると期待を寄せています。近い将来、天草が「日本最大の産油地」となる日が来るかもしれません!?







次回は12月21日(水)掲載予定
「水を大切にしよう―」。高校生が地域の水環境を守る「水の宣言校」の取り組みを紹介します。




トップページに戻る




デンソー新事業推進部 新事業推進室
事業企画担当部長 渥美欣也さん(写真右端)
車の燃料として実証済み
生産効率高め増産目指す
 新事業推進部では、地球環境の維持と成長の両立と、人々が安心・安全に暮らせる社会を目指し、デンソーの技術を活用したさまざまな事業に取り組んでいます。2008年から開始した藻を使ったバイオ燃料の研究のほか、社会に役立つ次世代ロボットの開発やハウス内の環境制御システムによる農業支援など、8つの分野にわたります。
 藻が作り出すバイオ燃料は、ダカール・ラリーに出場したトヨタ車体チームの燃料の一部に使われるなど、走行に支障のないことが実証されています。今後は、施設の拡充に加え、油をより多く作るシュードや効率的な生産方法の開発を進めて、年間2万gの生産を目指します。
 バイオ燃料は、エネルギー問題や地球温暖化対策に貢献できる技術だと期待し、研究を進めていきたいと思います。

デンソー天草事業所







教えてください!
あなたの周りのエコな人やグループ
採用者には2000円分のQUO(クオ)カードを進呈!
 冷暖房費を節約するため、休日は公立図書館で過ごします。今どきの図書館は、本だけでなく雑誌も充実している上にDVDも見られるので、退屈することはありません(笑)。
(玉名郡南関町/とし)
 母の友人の80代の女性が持っていた素敵なバッグを褒めると、何と古着を利用して自分で作ったものだとのこと。確かに、色鮮やかないくつもの古着の生地を、繊細に編み込んでありました。エコな上に、手先を動かすので頭の体操にもなるなんて、感動です。
(宇城市/はにいまん)


応募は、「氏名(ペンネーム)、住所、電話番号」を明記の上、はがき・封書、FAX、メールで、熊本日日新聞社業務推進局「くまもとエコ人」係まで。

 ●はがき封書
 〒860‐8506(宛先住所は不要)
 熊本日日新聞社業務推進局
 「くまもとエコ人」係
 ●FAX
 096‐372‐8711
 ●メール
 eco@kumanichi.co.jp


※件名に「くまもとエコ人」とお書きください。
※投稿内容は、当キャンペーンのFacebookでも紹介する場合があります。
※ご応募の際にいただいた個人情報は、投稿内容の確認や取材のための連絡、
採用謝礼の発送のみに使用させていただきます。



トップ特集エコモーションとはバックナンバー環境掲示板お問い合わせ



くまもとエコモーションキャンペーン事務局
熊本市中央区世安町172 熊本日日新聞社業務推進局内
TEL 096(361)3344 FAX 096(372)8711 電子メールeco@kumanichi.co.jp

Copyright Kumamoto Nichinichi Shimbun